伊勢まで歩く【伊勢街道+伊勢本街道】
「伊勢に行きたい。伊勢路が見たい。一生に一度でも」というフレーズで知られる伊勢参り。江戸時代の人々は伊勢に行くことを夢に見て、何日もかけて伊勢まで歩いていきました。今では歩いていく人は皆無ですが、実は昔に使われた伊勢街道は多くの場所で昔の雰囲気をしっかりと残しており、この街道を歩いて伊勢まで向かうのもなかなか楽しいですよ!!
伊勢参り
江戸時代になると大名たちが江戸へ行くための街道が整備されました、そしれ、庶民はその街道を使って、旅行ができるようになりました。江戸時代の人々は警備上、関所を超えることは許されていませんでしたが、伊勢参りが理由であれば、関所を通過することができました。
とはいうものの、伊勢までの旅費高く、とても一般人が出せるものではありませんでした。そのため、人々は講を作り、伊勢のための旅費を積み立て、その中で当選した人が代表として伊勢に行くことができるというシステムを作りました。まさに江戸時代の人々にとって伊勢参りは一生に一回の旅行でした。
伊勢参りは多い年には数百万人、まさに日本人の6人に一人が参詣するほど有名なものとなりました。もちろん、こういった伊勢参りの人たちは何日もかけて伊勢まで歩いていきました。
伊勢へつながる街道
伊勢につながる街道はいくつかありますが、東日本から来た人は東海道を歩いて伊勢街道へ入り、西日本から来た人は奈良から伊勢本街道や初瀬街道を使ってアクセスしたようです。
伊勢本街道
伊勢本街道は大阪の玉造稲荷神社から続く170キロの道です。内宮を作った倭姫も、天照大神を祀るのに適した場所を探し求めて、この道を通り伊勢へ行ったとも言われ、歴史ある道です。
大阪から榛原までは近鉄線沿いを行き、ほぼ平地なので手ごろな散歩道という感じですが、榛原辺りから松阪までは人通りのない山の中をずっと歩きます。美しい村々の景色が広がり、それほどきつい坂もないので、ハイキングに最適ですが、公共交通機関がかなり限られており、コンビニなども全くないです。松阪辺りからは再び平地で歩きやすくなります。
なお、大阪から奈良は暗越奈良街道、奈良から桜井は上街道とも呼ばれます。
伊勢本街道 | |||
区間 | 距離 | 見どころ | |
1 | 玉造稲荷神社 (大阪市)~枚岡神社 (東大阪市) |
東大阪ラグビースタジアム、松原宿、枚岡神社 |
|
2 | 枚岡神社 (東大阪市)~南生駒 (奈良県生駒市) |
暗峠、西畑の棚田 |
|
3 | 南生駒 (奈良県生駒市)~興福寺 (奈良県奈良市) |
榁木峠、平城宮公園、三条通 |
|
4 | 興福寺 (奈良県奈良市)~天理 (奈良県天理市) |
ならまち、帯解寺 |
|
5 | 天理 (奈良県天理市)~桜井 (奈良県桜井市) |
大和神社、箸墓古墳、大神神社 |
|
6 | 桜井 (奈良県桜井市)~長谷寺 (奈良県桜井市) |
長谷寺 (東海自然歩道と重なる区間です) |
|
7 | 長谷寺 (奈良県桜井市)~榛原 (奈良県宇陀市) |
萩原宿(初瀬街道と重なる区間です。) |
|
8 | 榛原(奈良県宇陀市)~山粕 (奈良県曽爾村) |
墨坂神社、高井の千本杉、石割峠 |
|
9 | 山粕 (奈良県曽爾村)~伊勢奥津(三重県津市) |
御杖神社、三多気の桜、奥津宿のまちなみ |
|
10 | 伊勢奥津 (三重県津市)~横野 (三重県松阪市) |
上多気宿、北畠神社、櫃坂峠、 |
|
11 | 横野 (三重県松阪市)~多気 (三重県多気町) |
香肌峡、津留の渡し、相可宿 |
|
12 | 多気 (三重県多気町)~外宮 (三重県伊勢市) |
田丸城 |
伊勢本街道のギャラリー
伊勢街道
伊勢街道は三重県四日市の追分で東海道から分岐し、外宮まで続く街道です。途中、鈴鹿、津、松阪と三重県の大きな町を経由していきます。ほぼ近鉄電車沿いなので、とてもアクセスはしやすいです。
この街道は100%平地を歩くもので、森や山道などは一切ありません。とはいえ、道中には歴史的なお寺や神社はもちろんのこと、それぞれの宿場町では伊勢参りが盛んな頃から知られた名物が多くあります。
伊勢街道 | |||
区間 | 距離 | 見どころ | |
1 | 四日市~白子 |
|
|
2 | 白子~津 |
子安観音寺、伊勢上野城、津観音 |
|
3 | 津~松阪 |
松阪の町並み |
|
4 | 松阪~外宮 |
|
伊勢街道のギャラリー
初瀬街道
初瀬街道は奈良県の長谷寺から名張、青山峠を進み松坂までつながる道です。伊勢本街道ほど山深くなく、通りやすかったことから、西日本から伊勢へのアクセスによく使われた道です。壬申の乱に天武天皇や伊勢神宮で天照大神に仕えた斎王たちが通った道でもあり、由緒ある道です。
街道は現在の近鉄大阪線・国道165号線沿いを進むので、アクセスもしやすい街道です。松阪からは伊勢街道に接続し、伊勢へ向かいます
初瀬街道 (あを越え伊勢街道) | |||
1 | 初瀬 ~ 榛原 |
(伊勢本街道と重なる区間です) |
|
2 | 榛原~名張 |
|
|
3 | 名張~伊賀(伊賀上津) |
|
|
4 | 伊賀~榊原温泉(大三) |
青山峠 |
|
5 | 榊原温泉(大三)~松阪 |
|
伊勢脇街道
古市参宮街道
伊勢さん宮街道は外宮から内宮を結ぶ道です。5キロの短い道ですが、昔伊勢に来た人が通った歴史ある道です。古市はもともと伊勢参りの人のための精進落としの場所として、遊郭が立ち並んだと言われますが、今では当時を示すものはほとんど残っていません。
古市参宮街道 | |||
区間 | 距離 | 見どころなど | |
1 | 外宮 ~ 内宮 |
猿田彦神社、おはらい町など |
古市参宮街道のギャラリー
伊勢別街道
伊勢別街道は三重県の関(亀山市)より東海道と別れ、津市の江戸橋付近で伊勢街道と合流する街道で、伊勢へのショートカットとなる道です。市街地をいくコースですが、小さな街道の道が残り、昔の雰囲気がよく残っています。
伊勢別街道 | |||
区間 | 距離 | 見どころなど | |
1 | 関 (三重県亀山市)~津 (三重県津市) |
専修寺 |
竹内街道・横大路
竹内街道・横大路は最古の官道ともいわれ、大阪の堺と奈良の桜井を結ぶ道で、飛鳥時代に外国の使節などが頻繁に歩いた道ですが、江戸時代になると伊勢参りの道としても使われました。周辺には古代の道として古墳も多く存在しますが、伊勢灯籠も多くあるユニークな道になっています。
桜井の海柘榴市で伊勢本街道に接続します。
竹内街道・横大路 | |||
区間 | 距離 | 見どころなど | |
1 | 堺(大阪府堺市)~古市(大阪府羽曳野市) |
百舌鳥・古市古墳群など |
|
2 |
竹内峠、王陵の谷、当麻寺など |
||
3 | 長尾神社(奈良県葛城市)~桜井(奈良県桜井市) |
大和三山、今井町など |
コメントを残す