三重県

伊勢本街道を歩く10: 伊勢奥津~横野

大阪と聖地伊勢をつなぐ伊勢本街道。今日はそんな伊勢本街道を伊勢奥津から横野までの区間を歩きたいと思います。美しい森林を歩くところが多く、峠も飼坂峠と櫃坂峠の2つを越えていきます。伊勢本街道としては最後の山岳区間となりました。

※伊勢本街道の全行程の記録はこちら

伊勢本街道 10: 伊勢奥津から横野

伊勢奥津

今回の伊勢本街道の旅は伊勢奥津からのスタートです。

伊勢奥津駅へは松阪からJR名松線で1時間半ほど。アクセスがかなり大変で、2時間に一本程度しか電車が来ません。なので、必ず時刻表をチェックしてくる必要があります。

なお、私たちは大阪から日帰りできていますが、近鉄の難波6:05分の特急に乗り、榊原温泉口で普通に乗り換え、川合高岡駅で下車。そこから5分ほど歩いてJR名松線の一志駅へ向かい、そこから伊勢奥津まで乗っています。その場合、奥津駅には9:00頃に到着できます。これを逃すと、お昼ぐらいにしかつきません。

伊勢奥津駅
伊勢奥津駅。蒸気機関車用の給水塔が残っています。
名松線
家城からはほとんど乗客がいませんでした。

伊勢奥津は津市にあります。津市といえば、もうすぐ伊勢神宮かと思うかもしれませんが、伊勢神宮まではまだ50km近くあります。津市は色々合併しているので、本当に大きいんですよね。

奥津駅前の古い家が多く並び、伊勢本街道の中でも昔宿場らしさを残す数少ない町です。それぞれの家がかつての屋号が書いてあるのれんを掲げてのれん街を形成しています。のれん街を抜けてしばらく行くと、JR名松線とは別れ、飼坂峠へと登っていきます。

伊勢奥津ののれん街
伊勢本街道の中で最も宿場らしいところですね。
谷口常夜灯
谷口常夜灯。1864年建立。
伊勢奥津からの道
さて、だいぶ山の方まで来ました!!

飼坂峠へ

すぐに飼坂峠に入ります。国道422号線はトンネルで峠を越えますが、伊勢本街道はトンネルの脇から出る山道を歩いていきます。かなり薄暗い山で、伊勢本街道の中でも櫃坂峠などと並んで不気味と言われ、昔は山賊なども多く出現したようです。入り口には強盗に襲われた人たちの供養のために首切り地蔵や腰切り地蔵がが置かれていました。今では強盗が出ることはささうがにないと思うのですが、人通りはほぼ全くなく、不気味さは少し残っています。

飼坂峠の首切り地蔵
首切り地蔵。昔も強盗に襲われるとこうやって首を切られたようです。
飼坂峠への入り口
飼坂峠へ!!
飼坂峠
結構坂は急です。

歩いて30分ほどで頂上、若干不気味なことを除けば、そんなに大した感じでもなかったと思います。頂上付近には多くの峠同様、茶店があったと言わています。残念ながら頂上付近は木が茂り、展望はありませんでした。ここから降りると上多気です。なお、下りの道は工事中(?)なのか、林道みたいになっていました。

飼坂峠の頂上
飼坂峠の頂上付近。昔は賑わっていたんでしょうか。
飼坂峠からの道
どんどん降りていきます。下りは楽!!
上多気への道
もうすぐ上多気。

上多気

そして降りてくると多気宿。最寄りの駅からはかなり離れた、山間の小さな集落ですが、実はこの上多気は伊勢国司から戦国大名までに成り上がった北畠家の本拠地です。後醍醐天皇の下で大活躍し、惜しくも21歳で石津川のほとりで戦死した北畠顕家もこの上多気の出身です。

なお、ややこしいですが、参宮線と紀勢本線の駅である多気駅からはずいぶん離れた場所にあります。

すぐいせ道の石碑
1853年に建てられた『すぐいせ道』の石碑があります。

伊勢本街道はこの多気宿を直進していきますが、10分ほどそれたところには北畠氏館跡庭園と北畠家を祀る北畠神社があります。時間があれば行ってみたいですね!石津川の顕家のお墓にも行ったし、阿倍野神社にも行っているような顕家ファンなので、もちろん行ってきました!!なお、北畠氏館跡庭園は入園料が必要です。また、この神社の後ろには北畠氏の本拠地である霧山城もありますが、今回は時間がないので行ってません。行きたかったなぁ…

北畠神社 
北畠神社。主祭神は初代伊勢国司の北畠顕能です。
北畠神社の境内
こんな山奥なのに、すごく立派な神社です。
北畠顕家の像
花将軍こと北畠顕家です。

多気宿を通り、櫃坂峠へ

この上多気の辺りには、昔は街道筋に20件以上旅籠があったとも言われているようですが、今では全くそんな気がしませんね。この辺りには羊羹が有名な『あずまや』や道の駅美杉もあるので寄ってみるといいのかも。自動販売機やトイレもあり、軽食やお土産も売っていました。

上多気の町並み
多気宿町屋の町並み。街道らしい感じがする町並みです。
道の駅美杉
道の駅美杉。コンビニが全くないので、道の駅が唯一の頼りです。
アマゴのからあげ
アマゴのからあげを買いました!!400円で10匹も入ってました!!

さて、ここからは国道368号に沿って進んでいきます。最初は結構幅が広い国道ですが、これが先に進むにつれ、どんどん小さくなっていきます。国道沿いにキャンプ場(?)があるので結構交通量はありました。今、日本はキャンプが本当に人気ですね。

国道368号線
宗田口の道しるべの石碑。最初は大きな国道なんですよね。
伊勢本街道の旧道
伊勢本街道はたまに国道から逸れたりもします。
国道368号線
国道がこんなに狭くなっちゃいました。

櫃坂峠の直前の集落には家がいくつがありますが、1970年代にすでに廃村となり、住んでいる人はほとんどいないようです。昔は旅籠もあったようですが、歩く人がいなくなったので旅籠も全てなくなってしまいました。

櫃坂峠を降りれば、榛原から続いてきた山の中の道もほぼ終了。なんだか寂しい気分がしてきました。

伊勢本街道沿いの廃村
この辺りは廃村のようです。
宿場の看板
昔は伊勢本街道沿いに結構な数の旅籠もあったようですが、今ではほとんど残っていません。

櫃坂峠

さてとうとう櫃坂峠。ここまでずっと車道だったので、櫃坂峠も車道かなと思いましたが、山道でした。地元の人がしっかり整備して歩けるようにしてくれています。とはいえ、もともと櫃坂と呼ばれたのはこの山道ではなく近くを通る別の道のようで、この道は新しく作られた道のようです。国道から右に降りるよう案内があり、降りると山道になります。

なお、伊勢本街道を通して山越えはここが最後。ここを降りると仁柿川に沿って歩き、あとは平野部歩きです。

櫃坂峠の看板
櫃坂峠は1.5kmの短い山道。途中15丁の看板が立っています。
櫃坂峠からの下り道
結構静かな山道です。並行して走る国道は結構な交通量ですが。
櫃坂峠
櫃坂峠は下る場合はそんなに大変ではないのかも。

そして横野へ

櫃坂峠を降りてきたらあとは櫛田川沿いにずっと国道沿いに歩いていきます。今日の目的地の横野ももうすぐって感じです。

横野
山を下ってきました!
伊勢本街道の風景
三重って本当に綺麗なんですよね。
アマビエ
でーっかいアマビエですね。藁でできています。
横野
もうすぐ横野です!!

国道368号線に沿って下り、柿野神社まで来ると、今日の終点横野です。ということで、今日はここまで。伊勢奥津からは20キロほど来た感じですが、本当にあっという間でした。峠も大きなものが2つもありましたが、意外とあまり疲れませんでした。

柿野神社
柿野神社に着きました!!
柿野のバス停
柿野のバス停。ここから松坂まで40分ほどです。

ここから松阪へ向かうバスが1時間に1本あるので、それに乗って帰ることにします。結構山奥で、残念ながら周囲には特に何もありません。実は最近まで、ちょうど柿野のバス停の近くにコンビニがあったんですが、それもなくなってしまったようです。

伊勢本街道は横野からは川沿いに国道166号線を下り、多気へと続きます。もうすぐ伊勢です!!

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