伊勢本街道を歩く8: 榛原~山粕

伊勢本街道を歩いて大阪を出発し、榛原まで来ました。ここまでは近鉄線に沿ってきましたが、榛原からは近鉄線から大きく離れ、曽爾村へと向かいます。かなり山深く人がほとんどいないようなところを行きますが、景色はとてもきれいで、かなり整備されているので歩きやすいコースです。

※伊勢本街道の全行程の記録はこちら

伊勢本街道を歩く8: 榛原 – 山粕

榛原から高井へ

近鉄の難波駅から電車で約1時間。榛原の駅に到着です。駅を降りると、そのまま南へ墨坂神社へ向かって歩いてきます。

墨坂神社は第10代の崇神天皇が疫病を鎮めるため、赤盾8枚、赤矛8竿と共に墨坂の神(天御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、伊邪那岐神、伊邪那美神、大物主神の6柱の総称)を祀ったと言われています。この宇陀の辺りは神武天皇の東征にも出てくる場所で、ほかにも日本神話にまつわるスポットが多く存在しています。

墨坂神社
墨坂神社。

墨坂神社を出ると、高井までは基本的に国道389号線に沿って歩いていきます。不動堂の裏手から山道へと入っていきますが、結構道がわかりにくいです。

弘法大師の石清水
弘法大師の石清水。冷たくておいしい湧き水です。煮沸不要です。
奈良県最古の道しるべ
県で最古の道しるべ。1664年のもの。
御井神社
御井神社。裏手で鹿の集団と出会いました。
伊勢本街道
山道に入りますが。国道369号線に沿っています。

高井から諸木野へ

榛原駅から歩いて1時間ほどで高井です。ここで室生寺に行く室生古道と別れ、国道369号線からも離れていきます。伊勢本街道はここから結構な山道になっていき、車はもちろんのこと人通りもほとんどなくなります。山道を30分ほど歩いたら集落に出て、また山道を歩くと言うのがこの先50kmほど、松阪市まで続きます。

高井の町並み
旧榛原高井郵便局
旧榛原高井郵便局。大正当たりの物でしょうか? 立派な洋館です。
右に見える建物は松本家。もともと旅籠でした。右に逸れていきます。
千本杉 
千本杉。樹齢は500-600年ほどある巨大な杉の木です。

山道を歩いていると、諸木野関所跡がありました。ここには関所があり、室町時代に伊勢参りの人から通行料を徴収していました。実際、こういう関所は街道のかなり多くの場所にあったようですね。通行料が地元の財政の一部になっていたようです。とはいえ山の中なので、きっと関所を通らずに行く裏道もあったんではないかと思いますが。

津越辻
津越辻。景色が本当に綺麗です。
伊勢本街道
幅がかなり広く、歩きやすいです。現在も生活道路の一部なんでしょうか。
諸木野関所跡
諸木野関所跡。結構山の中にあります。

諸木野関所跡を過ぎると、諸木野の集落に出てきました。昔はここにも多くの旅籠があったようですが、今は伊勢本街道を歩く人はほとんどいないので、旅籠も衰退してしまったようです。

山間の斜面ぎりぎりの場所に家が建っています。日本の山間部の人たちはこうやってわずかな土地を上手く利用しながら生活してきたんでしょうね。集落内には民家以外に特に何もなく、今では住んでいる人も多くはなさそうです。

諸木野
伊勢本街道からの景色
だいぶ山の中まで来ました!!

石割峠から上田口を経て山粕峠へ

さて、伊勢本街道はここから徐々に高度を上げて、本街道で最も標高が高いと言われる石割峠へと向かいます。とはいうものの、暗峠のような急坂っていう感じはなく、徐々に上がっていく感じです。

この辺りは三郎岳(878m)や高城岳へ行く道もあるので迷わないように注意が必要ですが、『伊勢本街道』と書いてある看板も頻繁にあるので、地図がある限りは迷わないと思います。

また山の中へ入っていきます!!
石割峠付近
峠の辺りは分岐がいくつかあります。
石割峠。ここで695m!!残念ながら峠が完全に木に覆われており、眺望はありません
峠を越えると下っていきます。山道を出ると田口宿。

田口は室生寺から南に5-6km下ってきたようなところにあります。田口宿も昔は旅籠が多かったようですが、今では旅籠のようなものは残っておらず、のどかな農村って感じです。

大和棟の古民家。ここはカフェだったような。
専明寺
専明寺。伊勢本街道はこの境内を通ります
短い林道を通って、黒井の集落へ。廃墟が結構多いです。
伊勢本街道沿いの黒岩の集落
黒岩の集落。だいぶ山の中です。

黒岩の集落を東に向かい、山粕峠へと向かいます。相変わらず人通りは少ないです。山粕峠も全くしんどくない峠です。昔はこの黒石で取れた石炭を山粕へと運び、さらに大阪へと運んでいたようです。

住塚山
あれは住塚山かな?大きい山です。
山粕峠
苔がきれい。やっぱり歩いている人は少ないんでしょうね。
山粕峠
山粕峠。昔はここに茶店でもあったんでしょうか。今は人通りは全くありません。

山粕峠を降りてくると、国道369号線と合流です。山の中の街道でバイカーなどに超人気ということもあり、一気に人や車が増えます。この国道をまっすぐ行くと山粕です。

そして山粕へ

さて、榛原を出てようやく山粕。山粕は伊勢本街道でも大きな宿場町の1つで、現在は奈良県曽爾村にあります。曽爾村といえば曽爾高原ですが、その曽爾高原よりも10kmほど南にあります。最寄りの名張駅からはバスで1時間ほど。かなりの山奥です。この辺りはコンビニはもちろん、スーパーもありません。しかし、昔はこの若干開けた地に旅籠屋商家などもあり、伊勢本街道を歩く人でかなりにぎわったところだったようです。

山粕の集落は確かに他の集落よりも格段に大きいです。バスまで時間があるなら集落の中を散歩してみてもいいのかも。

山粕宿
ようこそ山粕宿へ!!
山粕のめだか街道
めだか街道。めだかを販売、展示しています。昔からめだかの栽培が盛んだったわけではないようですね。
大和棟のような屋根の建物が多いです。
大和棟の家。見学もできるようです。

ということで、今日はこの山粕まで。山粕の集落を一番東まで来ると山粕東口のバス停があります。ここから名張駅(三重交通)または榛原駅(奈良交通・奥宇陀わくわくバス)へのバスがあります。それぞれ2時間に一本程度ですが、1時間に1本はどちらかの駅に向かうバスが来ます。とはいうものの、名張行の方がお勧めで、途中香落渓や曽爾高原付近を行くので、なかなか車窓がキレイなのでおすすめです。

なお、榛原行は15:40頃、名張行は16:50頃が最終バスでかなり早いので注意が必要です。

山粕東口バス停
山粕東口。集落の一番東にあります。

次はこの山粕から御杖村を抜けて、伊勢興津までを歩きます!!

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