伊勢街道を歩く 2: 白子~津

伊勢街道は東海道から分岐し、伊勢を目指すルートです。さすが伊勢街道って感じで、街道の至る所で今でも昔の面影が残っており、街道歩きにはとてもいいコースです。

今日はその中でも鈴鹿市の白子から歩いて津の津観音までを目指します。

白子から子安観音寺へ

大阪から近鉄に乗って、1時間半で白子。鈴鹿と言えば大阪からずいぶん遠い気もしますが、案外近いんですよね。

駅からは東に10分ほど歩いて白子港からスタートです。街道らしい雰囲気が残る道を行きます。

白子と言えば大黒屋光太夫ですね。1782年に大黒屋満太夫が白子港から江戸に向けて出発するも、アリューシャン列島に漂流してしまい、その後帰国のためにロシアを縦断してエカチェリーナ2世に面会し、無事日本へ帰還した人物です

白子港
久留麻神社。東海道中膝栗毛でもここに参拝した記述があります。
街道なので、古い石碑がたくさんあります。
鼓ヶ浦海水浴場。「白砂青松100選」の人気の海水浴場です。

少し行くと、子安観音寺。本尊は鼓ヶ浦の海の中から赤ん坊に背負われて出てきた白衣観世音です。安産祈願で有名なお寺。たしかに、縁起や名前からしてもとても安産にご利益がありそうなお寺です。

また、境内にある不断桜は天然記念物にも指定されており、とても有名な桜なんですよね。残念ながら行ったのは秋だったので、咲いてませんでしたが…

子安観音寺

子安観音寺から上野宿へ

子安観音寺からは磯山を進み、中の川を中の橋で渡ると、津市の千里。大阪の千里は『せんり』と読みますが、ここでは『ちさと』と読みます。

「くわんおん寺」(観音寺)でしょうか。
「いせみち」!!やっと来れてうれしいです。
磯山のあたり

とうとう津市に入りました!!

ただ、津の中心地まではまだまだです。というのも、津市は合併に合併を重ねて、ものすごく大きな市となり、今では伊勢奥津のほうまで津市なんですよね。

三重県はやっぱり近鉄ですね。
甕釜冠地蔵(右)
尾前神社。雨ごいのかんこ踊りが有名です。

千里駅から伊勢街道を逸れて海の方に行くと。千里湿原があります。あまり伊勢街道と関係がないんですが、かなり大きな湿原で、ちょうど行ったときは潮がひいていたので、本当にいろんな生き物がいました。

生き物が好きなので、ここにいたら永遠に時間がつぶせそうです。まだまだ先が長いので、残念ですが、先を急ぎたいと思います。

かなり大規模な湿原です。関西ではめったにみない大きさです。
足元にはかなりたくさんの貝がいます。
エイだ!!

上野宿

千里駅を少しすぎて、田中川を越えると上野宿。もともと伊勢上野城の城下町でしたが、後に伊勢街道の宿場町となりました。旅籠は27軒ほどあったようなので、それほど小さい感じでもなかったんでしょうね。今では宿場らしい雰囲気もあまり残っておらず、お城があったところは本城山公園として整備されています。

この道の曲がり方はまさに宿場らしい感じです。
この辺りには若干、宿場らしさがあります。

宿場の真ん中あたりに上野城址と書いた看板があり、長い階段を上ると上野城址です。上野城は織田信包の城で、信長が小谷城を攻めた時、小谷城の浅井三姉妹が保護されて上野城に来たことが有名です。

今では天守閣も石垣も残っていませんが、天守閣があったとされるところには展望台が立ち、一番上まで登るときれいな景色を見ることができます。

伊勢上野城のゴーちゃん。
天守閣跡
展望台からは伊勢湾がよく見えます。
ずーっと向こうには鈴鹿山脈

上野宿を出て、江戸橋へ

上野宿を出ると、あとは伊勢の田舎を歩いて津の中心地を目指します。この辺りは見どころが多いわけではないのですが、古い家やきれいな田舎の景色が楽しめるところです。

高山地蔵尊。上野城時代に罪人を処刑する場所だったそうだ。
ぢ神神社。もともと地神だったんですけど、いつのまにか痔の神様になっちゃったとか。
街道らしい大きなおうちです。

栗間のあたりにも、古い家が少し残っている街道らしい雰囲気の道を進みます。

観音寺の前にある常夜灯。1806年のもの
津の名酒寒紅梅。1845年の創業です。
さっき分岐した巡礼道とここで再び合流します。大きな松が植えられていますね!!
街道らしい感じです。

さて、江戸橋まで来ました。この江戸橋は江戸に向かう藩主の見送りがここまでということで、江戸橋と名付けられました。つい最近までは木造だったようですが、今ではコンクリートの橋にかけ替えられました。

国立の三重大学が近いので、大学生がよく歩いています。

今ではコンクリートの橋になってしまいました。
津城からの大名行列もここを歩いたんでしょうね。

そして橋を渡ったあたりで伊勢別街道と合流。伊勢別街道は東海道の関から続く道で、京都方面から来る人はこの伊勢別街道を頻繁に使いました。

いまでは分岐の場所に大きな道標が残されています。

常夜灯は1777年のもの

さて江戸橋で志登茂川を渡ると、津駅や三重県庁がある津の中心地が近づいてきました。藤堂高虎の津城の城下町と栄え、後に伊勢街道の宿場町となり、伊勢音頭では「伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ」と言われるほどの賑わいのある場所でした。

また伊勢別街道を通ってきた人と落ち合う場所でもあったので、関東と関西から来た人でにぎわっていたことが東海道中膝栗毛にも書かれています。

今でも津駅には近鉄やJRも乗り入れており、とても便利な駅です。

阿部喜兵衛商店(左)
津駅。大きいような、小さいような。

県庁所在地なのに、なんか駅の周りに何もないなぁと思うかもしれませんが、そうなんですよね。津市であんまり栄えていません。

昔は津駅からもう少し南に行ったらある塔世橋を境に、北側は橋北とよばれ、橋北地域はもともと田野が広がっていた地域でした。

津駅があるのは橋北です。中心地は塔世橋を越えて、橋内と呼ばれる地区で、津城や津観音があるところです。橋内が元々は津市のメインでしたが、今では衰退がかなり激しいです。

初馬寺。ここも聖徳太子ゆかりのお寺だ。
三重県庁。もともと四日市にあったのが移転してきたんですよね

塔世橋付近には四天王寺と呼ばれるお寺もあります。四天王寺と言えば、大阪の四天王寺が有名ですが、ここにもあるんですね。

そして、大阪の四天王寺と同じく聖徳太子創建のようです。中には織田信長の母、土田御前の墓などいろいろ見どころがあるお寺でした。

立派なお寺です。
塔世橋。下に流れるの安濃川ですが、もともと塔世川と呼ばれていました。

国道23号線沿いに少し歩いて、また細い道に逸れていくと、今日のゴールである津観音があります。日本三大観音の1つで、立派なお寺です。

国道23号線。名古屋みたいな道の大きさです。
津観音です。

ということで、今日のゴールである津観音に到着です。ここから少し西の方に向かうと、津城や松菱百貨店などもあり、津市の中心地。さらにもう少し西に行けば津新町駅です。

津駅から少し離れていることもあり、中心地でも少し寂れた感じがありますね。四日市と比べてどっちの方が大きいでしょうね。

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