大阪府

浪速区を全部歩く(前編)【湊町・桜川・今宮】

大阪に引っ越してきたばかりの人や、大阪をまだよく知らない人に、まず歩いてほしい街、それが浪速区です。繁華街の賑わい、観光地の活気、そして人々が暮らす住宅街まで、この街には大阪の魅力が凝縮されています。

今回は、そんな浪速区を難波駅から反時計回りにぐるりと一周しながら、浪速区のさまざまな表情を歩いて巡ってみます。

浪速区を全部歩く(前編)

難波

浪速区散歩のスタートとなるのは、南海難波駅。大阪人が「ほな、なんばで待ち合わせな」と言った時、通常はこの南海電車の難波駅か、御堂筋線の難波駅を指します。この駅自体は実は中央区なんですが、難波駅のすぐ西は浪速区です。

1885年に初の民間私鉄として南海電鉄ができたとき、この辺りにはネギ畑が広がっており、今でも関西ではネギのことを「なんば」と呼ぶのはこのためだとか。今では大阪で最も大きな街のうちの1つです。

この難波駅から歩いて5分のところに浪速区役所、そして府立体育館も。なんばの駅の周りにはお店以外にも、結構いろんなものがあって探索しているとおもしろいところです。

南海難波駅
南海難波駅。建物は1932年竣工。広場ができて、ずいぶんいい感じになりました。
浪速区役所
浪速区役所。難波駅からすぐの所にあります。
府立体育館
府立体育館。3月場所が開催されるのはここ。市立体育館とは別です。

最近できたホテルロイヤルクラシックがとてもきれい。元々この地には歌舞伎座があったので、歌舞伎座の唐破風を取り入れたデザインになっています。

ホテルロイヤルクラシックの裏手に広がるのは、元々難波新地で遊郭が広がっていたエリア。今では看板を見ると「なんば楽座」とありますが、歌舞伎座の裏手ということもあって「座裏」とか呼ばれています。今では遊郭らしいものは全くなく、飲み屋などがメイン。

なんばwalk(地下道)を通れば、OCATまでは結構遠い気がするんですが、座裏を通ればなんばからOCATまではすぐです。

ホテルロイヤルクラシック
ホテルロイヤルクラシック
座裏
座裏。飲み屋がたくさんあっていい感じです。
難波駅周辺
なんばもずいぶん変わりました。

OCAT・湊町

少し難波の外れにあるのがOCAT。大阪人にとっては、高速バスターミナルのイメージしかないんですがOCAT(大阪シティーエアターミナル)の名前が示す通り、昔はエアターミナルとして、ここで飛行機のチェックインを行い、OCATから手ぶらで関空行きの関空快速や関空特快WINGに乗って、飛行機に搭乗することができました。

しかし、アメリカでのテロ事件の後、ここで空港以外でのチェックインが認められなくなり、航空会社は撤退。今では2階のバスターミナルを除いて、ビル全体がかなりガラガラ。

OCAT
OCAT。右の高速道路は直接バスターミナルにつながっています。

そんなOCATも関空を利用する外国人を意識して作られたのか、かなり凝った作りになっています。屋上には無料の庭園があったり、地下には動く歩道もあったり。

挙句の果てに、駅前の大きなポンテ広場ではあまりにも人が来ないために、中高生のストリートダンスの練習場となりました。でも、ここからオリンピック出場選手まで出たというから驚きです。

ponde広場
下の鏡や玉の前でいつも誰かがダンスの練習しています。

OCATは現在地下1階にJR難波駅があり、ここから奈良方面へ向かう普通に乗ることができますが、快速はJR難波からは乗れません。そもそも結構不便な位置にあるので、利用者数は多くありません。今でこそJR難波という名前ですが、昔は湊町と呼ばれる駅で、ホームは地上階にあり、周囲には広大な貨物ターミナルが広がっていました。

湊町駅が地下へ移転し、JR難波と名前を変えた後、南側一帯では再開発が進められました。一時期、「ルネッサ難波地区」と呼ばれるこのエリアは、低迷していたものの、OCAT周辺を中心に高層ビルやタワーマンションが立ち並ぶ、難波の中でも特に洗練された街並みへと生まれ変わっています。中心地から少し離れているため、あまり話題に上ることはありませんが、この辺りは難波の中でもひときわ落ち着いた、洗練された雰囲気が魅力です。

OCAT
OCATとそのは後ろにはローレルタワー難波。そして、西日本最大級、40階建てのアパホテル。
マルイトなんばビル
マルイトなんばビル。144mの大型ビル。ホテルやジュンク堂などが入っています。
湊町中央広場
湊町中央広場。難波とは思えないほどきれいなところです。ドン突きがOCAT。
湊町
この辺りもとっても住みやすそうでいいですね。

OCATの北へと目を向けると、近くには道頓堀が流れ、道頓堀に架かる浮庭橋からは、きれいに難波ハッチが見えます。このあたりも再開発されたところ。向かいのおしゃれな堀江地区とつながって、いい感じにおしゃれになってきました。

ハッチはでは大階段のところで、若手の漫才師がこっそりネタ合わせをしていることも。なんとも大阪らしい雰囲気です。

難波ハッチ
難波ハッチ。八角形だからハッチ。
ハッチの駐車場…ではなく、高速の入り口です。

桜川・汐見橋へ

OCATから西に歩いて木津川へ。このOCATを越えたあたりからは、大阪らしい感じの町並みで、マンションと工場が混在した準工業地域。そんな中にもぽつんと赤手拭稲荷があり、ついつい寄り道したくなります。

赤手拭稲荷
赤手拭稲荷。落語「ぞろぞろ」の舞台になった場所です。
汐見橋のあたり
この辺りも難波駅が近くてとても便利なんですよね。

少し西へ行くと、千日前通り沿いに汐見橋駅。そのすぐ北を流れる道頓堀に流れる橋の名前からとった名前です。そして、この駅こそ高野線(当時は高野鉄道)の始発駅でした。しかし、1922年に高野鉄道が南海電鉄に吸収されてから、すべての電車は難波駅始発に。

今では2両の電車が30分に1本来るだけです。都会の真ん中でずいぶんとローカルな路線です。でも、大阪好きなら一回は必ず乗っておきたい路線。西天下茶屋あたりで降りて散歩すると、なんとも大阪の下町らしい景色を見ることができます。

汐見橋駅のすぐ隣には地下鉄千日前線の桜川駅、そして阪神の桜川駅。両線とも乗り換え案内で汐見橋線のことを全く言わないのは、なんででしょうね。

南海汐見橋線
南海汐見橋線汐見橋駅
汐見橋
汐見橋。うーん、結構地味な橋かも。
汐見橋から
汐見橋から。対岸は西区。西区はもうだいぶマンションが増えました。

浪速区も西端までくると、木津川が流れており、大正橋を渡ると大正区です。ここから南へと歩き芦原橋・今宮へと入ります。

芦原橋・今宮

環状線を越え、さらに南に行くと、芦原公園や芦原自動車教習所。ちょうどこの辺りが環状線の芦原橋の駅前です。環状線の19駅の中で、利用者数の多さは下から2番目。最も少ないのが次駅の今宮であることを考えると、この辺りの駅の周囲は少し盛り上がりに欠けている感じがあります。

ちなみに、このあたりに流れていた鼬川に架かっていたのが芦原橋。しかし、川は埋め立てられ、なくなってしまいました。

芦原自動車教習所
芦原自動車教習所。ニッタの本社工場跡地にあります。ミナミ育ちなら教習所はここか市岡かな?
芦原橋駅前
芦原橋駅前。ラッシュ時以外は人はまばらです。
芦原橋駅周辺
芦原ステーションプラザ。駅の周りはほとんど全部閉まっています。
芦原橋
この橋の下を鼬川が流れていました。

芦原橋の辺りは渡辺村と呼ばれたところで、皮革産業がさかんな長い歴史を持つ地域でした。今でも駅周辺には太鼓屋があり、駅の発車メロディーも和太鼓集団「怒」による太鼓。芦原橋から今宮にかけて人権・太鼓ロードが整備されています。

そして、この芦原橋から今宮の辺りは大阪での人権の歴史を語る上でも重要な地域でもあります。

太鼓屋
駅の近くにはたくさんの太鼓屋さん
人権・太鼓ロード
人権・太鼓ロード。バス停にも太鼓のモニュメントが。
太鼓の銅像
人権・太鼓ロードにある銅像

芦原橋の辺りは市営住宅が林立する地域ですが、人口減なども激しいみたいですね。団地内は草が生え放題になっており、団地内の学校は閉鎖されていました。昔はもっと市営住宅があった気がしますが、今では取り壊され、綺麗なマンションに生まれ変わっているところもたくさん。この辺りも将来は大きく変わるんでしょうか。

そんな住宅地の中に浪速神社や浪速玉姫公園も。玉姫公園内には江戸時代に太鼓で財を築いた太鼓屋又兵衛の屋敷跡のモニュメントがあります。

団地
ずいぶん生え放題。右は廃校みたいだ。
浪速神社
浪速神社。坐間神社の境外末社なんですよね。
太鼓屋又兵衛のからくり時計
太鼓屋又兵衛のからくり時計。太鼓をたたくからくりが出てきます。

今度は芦原橋から東へ向かい、今宮へ。今宮の辺りも芦原橋と同じような雰囲気で、市営住宅がかなりたくさんあります。とは言いながらも、昔と比べてここも人口はかなり減ってそう。

市営住宅
市営住宅群。かなり大きいです。
浪速第七作業場
浪速第七作業場。現存する作業場の1つです。
何の匂いだろう?

芦原橋駅から10分ほど歩くと今宮駅。環状線の駅ですが、なんと無人駅。乗降客は環状線の全駅の中で最も少ないようなので、無理はないでしょうか。改札の真ん前にパチンコ屋があり、改札から歩いて10秒でパチンコ屋。大阪では駅前にパチンコ屋あることが多いですが、ここまで近いのは今宮ぐらいでは。

ちなみに隣の新今宮駅と今宮駅ですが、新今宮駅の方が歴史は古く、環状線の今宮駅ができたのは平成9年。それまでは関西線だけが止まる駅でした。2つの路線が乗り入れていますが、ここで乗り換える人は皆無でしょう。

今宮駅
左が今宮駅。駅前には大きなコーナン(右)
今宮駅
何と無人駅。改札(左)、パチンコ屋(右)。

さて、ということで前半はここまで。ここらさらに東へと向かい、大国町、今宮戎、通天閣を経て難波駅まで戻ります。

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