東京vs大阪【外国人の目線から】

日本で外国人が働こうとした時に、初めに考えることと言えばどこで働こうかということ。多くの会社が東京にあり、求人は東京の方が多いので、多くの人が結局東京に住んでしまうのですが、大阪に興味がある人も多いんですよね。大阪と東京のどちらにも数年間住んだという経験から、『東京と大阪のどっちがいいか』ということについて、外国人の目線で考えたいと思います。

※あくまでも、筆者(アメリカ人)の個人的な意見だということをご了承ください。

1. 安さ: 大阪の勝ち

住むとなったらやっぱり手ごろな方がいいですよね!! 実際に大阪と東京の2つに住んでみたところ、家賃は大阪の方が断然安かった気がします。

まぁ最低賃金も東京の方が常に高いので、当たり前といえば当たり前なのですが。

大阪の方が『激安』のお店が多い気がします。

特に顕著なのが家賃なんでしょうね。大阪なら中央区や北区といった大阪のど真ん中でない限り、シングルならだいたい5~6万円程度で、大阪駅から電車で10分ほど乗った平野とか西淀川の方に行けば、もっと安くなる気がします。

一方、東京では5~6万円ていうのは足立区か江東区あたりでぎりぎり見つかるかって程度でしょう。私たちの感覚では東京に住んでいる外国人の多くは誰か別の人とルームシェアしていたり、会社が用意してくれている住宅に住んでいるって人が多かった気がします。

ただ、食べ物は意外と2つの都市で差はなかったと思います。例えば、コノミヤや万代(大阪の庶民的なスーパー)とマルエツやいなげや(東京の庶民的スーパー)では野菜などはほとんど値段が変わらなかったのを覚えています。

2. 食べ物: 東京の勝ち

大阪は『天下の台所』と呼ばれ、江戸時代には全国の食材が大阪の蔵屋敷に運ばれてきました。

ただし、それは昔の話。今は、大阪に全国の食べ物が運ばれてきたりはしませんし、大阪のスーパーだけ異常に品ぞろえがいいということもありません。品ぞろえは東京のスーパと大して変わりません。

大阪・中之島。ここに蔵屋敷が多く建てられていました。

ただ、外食の話になると、断然東京の方がいいと思います。庶民的なお店から高級店まで、東京なら尽きることなくあります。もちろんエスニック料理も豊富で、中東の料理が食べたいなぁなんて検索すると、すぐにお店が見つかるのが東京。海外の有名なレストランの日本初出店はたいがい東京ですよね。

一方、大阪は庶民的なお店が多いです。安いとうまいがそろったお店。もちろん悪くはないのですが、和食のお店がほとんどだと思いました。

外国人の間では大阪はストリートフードが有名っていうのは常識なんですが、それは道頓堀だけですよね。桃谷のイカ焼きなど、ストリートフードらしいお店は道頓堀以外にも少しは存在している感じですが、際立って有名というほどでもないと思います。

道頓堀

ただ、東京も大阪も味はやっぱりいいですね。どちらかといえば、関東の濃い味の方が好きです。おそらく多くの外国人(特に西洋系)は、西洋料理の味が濃いので、濃い味のほう方が好きだと思います。

3. 街の大きさ: 東京の勝ち

大阪の多くの人は東京をライバル視し、大阪は東京よりマシだとか、東京より首都にふさわしいだとかいろいろ言っている人を見かけました。大阪に長く住んでいると、地元の人の熱意に押されて、確かにそんな感じになってきます。

まぁ、大阪が東京よりマシかどうかはまた別の話なのですが、ひいき目に見ても、東京の方が大阪より断然大きな町なのは数字を見れば明らかです。東京は現在23区で人口は965万人。大阪は24区で人口は274万人。区の数は大阪の方が多いですが、人口では3倍程度の差があります。実際、東京があまりにも大きいので、日本で二番目に人口が多い都市は実は横浜だったりします。

さて、そんな大阪ですが、大きな町といえば難波(心斎橋)、本町、梅田、天王寺ぐらいでしょうか。東京だと新宿、渋谷、池袋、六本木、品川などなど、大阪の街に比べてそれぞれが本当に大きいです。夜の街の宗右衛門町や北新地を2つ合わせても、歌舞伎町より小さいんじゃないんでしょうか。

北新地

東京には外国人の人口も多く、また外国人の求人も東京の方が圧倒的に多いですね。外人Bar (外国人が集まるバー)も東京のほうが多いでしょう。

こういった事情からも、外国人で東京の方が暮らしやすいと言う人が多い気がします。

4. 親しみやすさ: 大阪の勝ち

どこの国でも都会の人は結構冷たいと言われますが、東京もなかなかの冷たさでした。

マンション内であいさつすることはほとんどなかったし、また道を聞けば無視されるし、さらに電車の中で話していたらうるさいと言われたことも何度か…  マナーに厳しいのはとてもすごいことだとは思うのですが、マナーに異常に厳しい人も多く、どこかマナーに縛られすぎなのではと思うこともしばしばありました。

もちろん、このマナーの衝突で駅で喧嘩している人もしょっちゅう見ました。

東京の人にしたら、まさに異文化なんでしょうね。大阪は。

一方、大阪の人はそこまで厳しいことはなかったですね。電車のなかでも皆さんはそれなりに話していますし、道を聞いて無視されるっていうのはあんまりないんじゃないでしょうかね。

どこか大阪の方がゆったりしている気がします。東京の人からすれば、大阪はマナーが悪いと言うのでしょうが。

5. 公共交通機関: 引き分け

外国人が日本を訪問してまず驚くのが、電車。空港を降りてすぐに電車に乗りますが、どうしてこんなに電車が来るのか、どうしてこんなに人が多いのか、困惑してしまいます。

そもそもどの電車に乗っていいのかわからず、急行だと追加料金がいるのかもとか心配しながら、とりあえず常に普通電車のみで移動したりもしました。

特に東京は私鉄、JR、そして2種類の地下鉄、さらに地下鉄に乗り入れる私鉄などもあってものすごく複雑です。大阪も私鉄・JR・地下鉄ともにありますが、東京に比べるとまだましな気がします(慣れただけなのかもしれませんが)。

大阪では京阪か近鉄が一番お気に入りです。

大阪では特に私鉄が有利なので、それぞれの私鉄がだいたいどこ方面に行くのかさえ分かっていれば、ある程度は乗りこなせている気がします。一方、東京ではJRがメインなのですが、どの路線もかなり同じに見えるので大変。

両方とも慣れてくるとかなり快適です。東京でも大阪でもほとんどどこでも電車で行けることがわかります。駐車場代が高いことを考えると、これはかなり便利です。

もちろん、伊丹も羽田も都心から近いのがいいですね!!最近、羽田着の国際線も多いので、羽田の方が便利さにおいては上ですが。

6 文化: 引き分け

日本に住みたいと思う外国人の大半はせっかくだから日本文化を堪能したいと思うのですが、東京にも大阪にもその地域が誇る文化があると思います。

そもそも東京は江戸時代になってから発展した街ということもあって江戸時代以前の古い文化はなく、『歴史的なところに行きたい』と言えば、ほとんどの人が鎌倉を推していた気がします。もちろん、それ以外にも歴史的なところはあるのですが、あんまり馴染みがないとかそもそも行ったこともない言う人が多かった気がします。歌舞伎や落語もなじみがない東京の人は多いんでしょうね。

ただ、ポップカルチャーのことになると、東京に勝るところはないと思います。日本のポップカルチャーのほとんどすべてが東京発祥だとさえ言えるのではないでしょうか。

一方、大阪では文化といえば漫才がとても有名ですね(残念ながら漫才は外国人には理解するのはかなり厳しいのですが)。

漫才を理解するのはかなり難しいですね。

若い人は文楽や落語といった伝統芸能に興味がないのは東京と同じですが、大阪の場合は電車で30分ほど乗れば、京都や奈良の歴史的なところに行けるのがいいですね。

大阪では南の方に行くと、古い文化が根強く残っていて、古い文化をある程度残しながらも、常に新しい文化を取り入れていくところが大阪らしいところだと思います。

 

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