奈良県

伊勢本街道を歩く9: 山粕~伊勢奥津

伊勢本街道も大阪を出てからだいぶ来ました。今日は奈良の東端から御杖村を超え、三重県に入っていきます。三重に入ると伊勢までは50kmほど。今日も険しい山の中を行きますが、近くに駅などはなく、かなりの田舎で美しいところです。

※伊勢本街道の全行程の記録はこちら

伊勢本街道を歩く9: 山粕~伊勢奥津

鞍取峠を越えて、御杖村へ

榛原駅から曽爾村に向かう奥宇陀ワクワクバスに乗って約1時間。山粕東口のバス停に着きます。ほかにも何人かバスに乗っていましたが、ここで降りたのは私たちだけ。なかなか伊勢本街道を歩く人は見ないです。

バス停から少し南に行ったトイレのから登っていきます。ここから鞍取峠です。この峠は伊勢街道の中でも怖いところとして知られているようで、昔は盗賊とかも多かったんでしょうね。伊勢本街道は山の中が多いので、薄暗い山がいくつかあります。ただ、今では普通の峠っていう感じです。なかなか坂がきついです。

鞍取峠は旅人が馬の鞍を取って休んだからそう呼ばれるようになったのだとか。

鞍取峠の入り口
ここから鞍取峠へと登っていきます。
鞍取峠への道
鞍取峠へと上がる道。なかなかきついですが、すぐに坂は終わります。

御杖村 (御杖神社まで)

鞍取峠から降りてくると、奈良県最東端の村、御杖村です。伊勢本街道はこの村を東西15kmにわたって横断し、三重県へと入っていきます。御杖村は山が多くあり、山間にちょくちょく集落があるって感じです。コンビニなどは全くないような田舎なところですが、とても美しいところです。伊勢本街道は御杖の桃俣宿から県道369号線から一筋逸れた道を東に向かいます。

御杖村
御杖村。きれいです。のんびりしたところです。
桃俣宿
桃俣宿。街道らしい道です。
まつや旅館
まつや旅館。伊勢本街道を歩く人はここに泊まる人が多いらしいですね。
御杖村
御杖村の景色。歩いたのが初夏なので、緑がうつくしいですね。

この後、桜峠を越えて御杖村の中心部へと向かいます。ここは少しわかりにくいです。牧場脇から入っていきます。看板があるので、それに従ってきます。

桜峠
桜峠。夏に来たら草が結構生えているところが多いのかも。
御杖小学校付近
変わった小学校のところに出てきます。

桜峠を降りてくると、菅野と呼ばれる集落です。JAや郵便局、役場があるので、ここが御杖村の中心地なんでしょうか。中心地と言ってもやっぱりスーパーもコンビニもないんですね。ここに住んでいる人はどうやって買い物にくんだろうなんて考えていると、移動式のスーパーが来ていました。

四社神社のあたりから、牛峠を越えていきます。牛峠は舗装されている道を行くので、歩きやすいです。

菅野
菅野。御杖村の中心地なんでしょうか。
四社神社
四社神社。伊勢参りの人はこの神社に立ち寄って安全を願ったそうです。
伊勢本街道からの御杖村の眺め
山だなぁ。
牛峠
牛峠。小さな峠です。

牛峠を過ぎて小さな道を下ると神末の集落です。集落の中心地には御杖神社がありました。御杖村の由来にもなった神社で、御杖というのは倭姫が伊勢まで旅をしていた時、この地に立ち寄り杖を祀ったと言われています。神社自体はそれほど大きいものではないのですが、境内には高い木々が立ち並び、拝殿の両脇には『上津江杉』と呼ばれる樹齢600年のご神木がありました。

御杖神社は三峰山の麓付近で、三峰山ががよく見えました。三峰山は1235mの高さがあり、関西でもナンバー3には入る冬山登山の名所で、関西のマッターホルンなんて呼ばれていたりもします。いつか来てみたいですね!!

御杖神社
御杖神社。小さくても立派な神社です。
三峰山
向こうに見えるのが三峰山。1235mなので、かなり大きいですね。

御杖村 (御杖神社から)

御杖神社の近くに岡田の谷の半夏生園というのがありました。ちょうど半夏生の日(7月2日ごろ)だったので、どんなものか覗いてみると、ハンゲショウが本当にきれいでしたよ!!このハンゲショウという植物は太陽にあたると葉が白くなるんだそうです。奈良ではかなり貴重な植物のようですね。

岡田の谷の半夏生園
反射してるように見えますが、反射しているわけではなく、葉っぱが白いんです。
ハンゲショウ。
葉っぱが半分化粧しているみたいだから、ハンゲショウとかいう説もあるんだとか。

この辺りは敷津と呼ばれる場所ですが、ここから左折して伊勢本街道をそれ、10分ほど歩いて369号線へ向かうと、道の駅伊勢本街道御杖があり、軽食をとったりできます。姫石の湯といって温泉もありました!!この道の駅から近鉄線の名張駅行のバスに乗ることもできます。ここから奥津まではだいたい2時間から2時間半ほどで、奥津には電車がほとんど来ないので、電車の時間に間あいそうにないなら、ここからバスに乗ったほうがいいのかも。

敷津のあたりには倭姫にちなんだ史跡がいっぱいあります。倭姫も大和から伊勢に行く際はこの伊勢本街道を歩いたと言われているからなんでしょうね。倭姫の手洗い井戸跡なんかもありました。

佐田峠
佐田峠。ここも舗装されている峠です。
大洞山
大洞山(985m)。おおきいなぁ!雌岳と雄岳の2つからなる山です。
道の駅伊勢本街道御杖
道の駅伊勢本街道御杖。結構いろいろあるので、便利です。
伊勢本街道の風景
もうすぐ奈良県も終わり。山が結構深いです。

丸山公園の奥に姫石明神があります。倭姫がここで病気の平癒を祈ったと言われている場所で、婦人病に霊験あらたかなんだそうです。ここがちょうど岩坂峠で、伊勢本街道はここの神社から下っていきます。そして、下ると三重県杉平。とうとう三重県まで来ました!!

姫石明神
奥の岩は女性がおしりを向けて横になっているように見えるんだとか。
岩坂峠
岩坂峠は石がごつごつして歩きにくいです。

とうとう三重県へ

とうとう三重県でに入りました。伊勢もかなり近づいてきた気がします! 三重県に入ると、もうすぐ伊勢奥津の駅。伊勢奥津はもともと美杉村でしたが、合併で津市になりました、津市は三重県の県庁所在地ですが、津市の中心地まではここからまだまだ遠いです。

時折見かける灯篭に『太一』とあるのは、古代の中国の思想で天地万物の生じる根源、日本では最高の神を表す言葉なんだそうです。

三重と奈良の県境
三重県に入りました。
太一の灯篭
三重では『太一』と書いた伊勢灯篭が多くあります。

石名原宿は三重県最初の宿場。ここも宿場らしい雰囲気は残っていません。ここから伊勢本街道を逸れて10分ほど北に行ったところにある三多気の桜はとても有名なので、春に来た人は歩いてみるといいのかも!!

伊勢本街道の石名原宿
石名原の町並み
石名原の街並み
石名原。あんまり街道らしさはないですね。
伊勢本街道の風景
山がきれいな田舎です。

伊勢奥津へ

さて、山粕から歩いて7時間ほど。奥津に着きました。奥津は伊勢本街道沿いのおおきな宿場で、いまでも宿場町の雰囲気があります。いまではのれん町として多くのお店がのれんを書けていますが、これは昔そうだったと言うだけで、いまでは普通の民家のところも多いようですが。

伊勢奥津の街並み
奥津には宿場らしい古い建物が残っています。
伊勢本街道沿いのぬしや
『ぬしや』は奥津宿を代表する建物です。

奥津駅はこの集落の中にあります。駅の周辺はスーパーやコンビニがなく、電車は2時間に1本ほど。終点の松坂までは1時間半ほどかかります。1両の小さな電車で、かなりゆっくり走ります。乗っている人はほとんどいないのですが、特に家城まではとてもきれいな景色が続き、関西で最も美しい路線の一つと言えるほどだと思います。

なお、ここから大阪・奈良方面へ帰る場合、松阪まで乗るのではなく途中の一志駅でおりると、近鉄線の川合高岡駅まで歩いてすぐなので便利です。

名松線
名松線。一両の小さな電車です。

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