泉布観【大阪最古の洋式建築】

天気のいい日に大川沿いに桜宮を歩いていると、造幣局の前に不思議な洋風の建物があります。この建物こそ、大阪で最も古い洋式建築『泉布観』です。

泉布観

泉布観の外観

泉布観があるのは桜宮橋の手前、ちょうど造幣局の向かい側に立っています。建物はかなり古いので、普段は入ることができません。

泉布観の外観。かなり目立つ建物です。
桜と泉布観。周囲の柱はトスカナ式の花崗岩です。

この建物は1871年に建てられました。コロニアル様式、総レンガ造りの建物で、設計者は英国人のトーマス・ウォートルス。グラバーの仲介で薩摩で働くようになった人物です。

この建物は「泉布観」と呼ばれますが、名付けたのは明治天皇です。「せんぷ」は貨幣を、「観」はたてもののことを意味します。明治天皇自身もたびたびこの建物を訪れ、外国の要人をここで迎えました。

隣にあるのは、造幣局の正門として使われたものが移築されたもの。現在は結婚式場です。

コロニアル様式は実はヨーロッパが東南アジアやアメリカといった植民地で作った建築様式のことで、アメリカには実はコロニアル様式の建物がいっぱいあり、今でも住宅建築に大きな影響を与える様式です。実際にこういった古い建物を利用してホテルとして営業するところもあります。そして実はわたしたちのアメリカの実家もコロニアル様式の家です。

コロニアル様式の特徴をあげると、1.シンプルな外観 2. 中央に扉があり左右対称 3. 大きな窓 4. 二階建て 5. 外にある柱  等でしょうか。

泉布観に入る

普段は固く閉ざされている泉布観ですが、3月の中旬に3日間だけ一般公開されます。ただし往復はがきでの事前の申し込みが必要。応募者多数の場合は抽選となります。

外観も凝った作りですが、入ってみると中もなかなか凝った作りです。シャンデリアもヨーロッパの家では当たり前のものでも、これが当時の明治時代ということを考えればすごいですね。今は電気ですが、昔はガス灯だったようです。

西洋建築によくあることですが、内部は若干暗いです。

タイルが高価だったので、ペンキで書かれていますね。
もちろん暖炉も。ヨーロッパの家で暖炉は欠かせません。
豪華なシャンデリアです。

一階は社交の間ですが、二階は個人空間です。ベッドなんかもおかれていたんでしょうかね。

コロニアル様式ではその家具もまたなかなか面白いものが多いのですが、残念ながら現在は家具が置かれていないので、当時どんなものだったのかは想像するしかできません。

天皇が来た時に泊まった部屋。ここは格別豪華です。
フランス窓です。

ベランダも設置されています。当時、ここから見える景色はどんなものだったんでしょうか。蔵屋敷が廃止され、大阪城がなくなる大阪で近代化の唯一の希望が造幣局だったんですが、きっとここからは明るい大阪が見えていたんでしょうね。

ベランダに出ると、柱がよく見えます。

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