大阪の渡し船に乗る【公営渡船】
大阪と言えば、水の都ですね!幾多もの川がこの町を流れ、昔はたくさんの人が船を使って移動していました。
そんな船も今ではすっかり廃れてしまい、残っているのは道頓堀などに残る観光用の船だけのように思えますが、実は今でも大正区の辺りでは川を船で渡るところがいくつか存在するんですよね!!
大阪の渡し船
どうして大阪にはこんなにたくさん道路があるのに、なんでまだ渡し船なんてあるんだろうと思う人も多いんじゃないでしょうか。
実は大阪の渡船があるのは大正区などのベイエリアのみ。このあたりには造船所などの工場が密集しており、大きな船が川を通行するため、低い橋はかけることができず、橋桁が何十mもあるようなかなり高い橋しかないんですよね。
自動車だと通るのはそれほど苦にはなりませんが、自転車や歩行者はかなり大変です。そういった理由から渡し船が今でも運行されています。
当初は有料だったりもしたのですが、大正の時代に渡し船は道路の一部と考えられたことで、無料に。現在も無料で運行されています。
渡し船に乗る
大阪の渡し船は全部で8カ所。その殆どが大正区にあります。渡船場はほとんどが少しわかりにくい場所にあるので、地図アプリ等を活用しながら行くといいと思います。
渡し船は今でも地元住民の生活の足として利用されていますが、利用者のほとんどは自転車。そのためか、船の中に座席などはありません。
また、無料なのでチケットなどはありません。船に案内してもらえるのは、出発の直前なので、船が来るのを待合室で待ち、そのまま乗り込むだけです。
天保山渡船場 (港区築港~此花区桜島)
天保山の麓あたりにあるのが天保山渡船場。ここから安治川を渡るのですが、河口付近に位置するということもあって、距離は8渡船の中でも最長の400m。このあたりはいろんな船が行き交うこともあって、なかなか見ていても面白いです。また若干ですが波もある気がします。
天保山からUSJのある対岸を結ぶので、USJの従業員の利用も多いんでしょうか。ただ、従業員用のゲートから一般の人は入ることができません、一般用のゲートはここから2kmほどなので、観光用にはあんまり使えないですね。
甚兵衛渡船場 (大正区泉尾~港区福崎)
甚兵衛渡船場は尻無川の河口にあります。
この辺りは住宅地ということもあって地元の人の利用が多く、利用者数は8つの渡船の中でも最も多いです。
渡船場からは大きな尻無川の水門が見えますよ。日本に3か所しかない(全部大阪にあるんですが)アーチ型の水門で、かっこいいです。
ここは他の渡船場とはちょっと離れたところにあるのでなんとも行きにくいところです。港区に渡ると市岡の住宅地のあたり。昔は野球で有名だった市岡高校もこの辺りです。
千歳渡船場(北恩加島~鶴町)
千歳渡船場は尻無川の河口付近にある渡船。大正内港を通行する船です。ここは川ではなく、海を行くんですよね。とはいえ、とても穏やかなクルーズ(?)です。
すぐ上には2003年に出来た千歳橋がありますが、千歳橋は高さが28mと高く、通行が大変なことから、橋が出来た後も渡船が存続されています。
船は370mの距離を航行します。ここは結構長いですね!!
落合上渡船場 (大正区千島~西成区北津守)
落合上渡船場は南海汐見橋線の木津川駅から歩いてすぐの木津川沿いにあります。
ここもまた少し奥まった所にあるのでわかりにくいですね。
渡船場からは木津川水門が見えます。これも日本に3箇所しかない珍しいアーチ型の水門。
これで2つ目ですね。3つ目のアーチ型水門は安治川水門なんですが、これは渡し舟では通りません。波除のところらへん(西九条駅の近く)にあります。
落合下 (大正区平尾~西成区津守)
落合上渡船場から南に150mぐらい来ると落合下渡船場。
渡船場の周囲は工場が多いですね。工場の隣には大きな船が横付けされています。
西成区側のすぐ近くには津守神社やつもりさくら公園などもあります。また大正側を少し北に行くと千島公園。大阪の低山の1つである昭和山があるところです。
千本松渡船場
千本松渡船場は木津川の河口付近、落合下渡船場から1kmほど南に来たところにある渡船です。千本松という名は、江戸時代にはこの木津川沿いに多くの松が植えられてきたことに由来するようですが、今では松の木はほとんどないですね。昔の雰囲気とはずいぶん変わってしまったんでしょう。
この渡船の頭上には「めがね橋」で知られる千本松大橋がかかります。高さは33m。総延長は1.2kmなので、自転車をおして歩くのはかなりきつそうですね。でも、橋を歩いてみるのも景色がきれいでいいんですよね。
木津川渡船場 (大正区船町~住之江区平林)
木津川渡船場は木津川の河口付近にあり、船町渡船場のすぐ南にあります。
この辺りは昔、大阪で初めての民間飛行場である木津川飛行場があったところです。伊丹空港が1939年にできるまで使われていた、大阪の主要な飛行場でした。
またこの木津川渡船場は1950~70年代にかけてカーフェリーが運航しており、大型トラック等も運搬することができました。
上には大きな新木津川大橋が架かっています。アプローチ部分が3重のループになっていて、総延長が2.4km。アーチ橋としては完成当時、日本最大の橋でした。渡るのはかなり大変ですね。
ここは川幅が結構広く、240mほどあります。ただ、利用者のほとんどが工場で働いている人たちなので、昼間は利用がすくなく、本数も少なくなっています。
船町渡船場 (大正区船町~大正区鶴町)
船町渡船場は鶴町にあります。鶴町は難波行きや大阪駅行きのバスが頻繁に出ているので、アクセスは悪くないですね。この鶴町1丁目の辺りは戦前、アメリカの自動車会社であるジェネラルモーター社があったところです。GMは戦争になると撤退したものの、今でも川沿いにはたくさんの工場がありますね。
木津川から分かれた木津川運河を渡る渡船で、距離はわずか75m。8渡船の中では最も短い路線です。あっという間に到着です。
昔は船を並べ、その上に板を敷いて橋としていたそうですが、それでもいけそうですね。
実際、街道を歩ているときにも、昔はそうやって板を並べて渡っていたというところもたくさんありました。
安治川トンネル
渡し舟は上の8つなのですが、実は1箇所だけ、渡し舟ではない方法で、川を渡るところがあります。それが安治川トンネル。なんと、川の下をトンネルで渡ります。
西九条の駅からすぐですが、その見た目はただのビル。知らない人がこれがトンネルの入り口だと気づくことはないんでしょう。
まるで関門トンネルのように無機質なエレベーターに乗って地下14mへ。トンネルは2mそして長さは80mもあります。
トンネルはなんんとも不気味な感じですが、人通りも結構多く、警備員の方々が巡回しているトンネルなので安心ですね。
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