稲荷山に登る【稲荷信仰の聖地】
日本で最も有名な神社である伏見稲荷大社。ここに来たらもちろん多くの人が本殿にお参りし、そのあと千本鳥居を通って奥宮へ行きますよね。そして奥宮からはさらに稲荷山へとつながります。そんな稲荷山ですが、なかなか独特な雰囲気が漂い、そこはまさに稲荷信仰の聖地とも言える場所になっています。
稲荷山とは
この稲荷山は京都の東山三十六峯の最南端の山で、標高は233m。そして、稲荷大社の始まりとなった秦氏の建てた祠があった山でもあります。
この祠はのちに稲荷大社として現在の場所へと移りましたが、もともと祠が立っていた場所には今では小さな神社が建てられています。それらは全部で7つ。御膳谷遙拝所、長者社、一の峰、二峯、間の峰、三の峰、荒神峯です。ただ、これ以外にも小さな神社が無数にあります。
お塚
そして、稲荷山に登るにつれて、多くの鳥居やお墓のようなものがあります。
これは明治の神仏分離によって、民間信仰としての稲荷が俗信とされた際に、修行の場を失った人たちが自分たちの稲荷を祀る塚、簡単に言えばMy稲荷の神社を建てたものだと言われています。現在ではその数は約1万もあると言われており、稲荷山のあちこちに存在しています。
稲荷山
四つ辻へ
さて、まずは稲荷山への登山口は本殿から千本鳥居を通り、奥社遥拝所へ。さらにそこから歩いて四つ辻へと登っていきます。奥社遥拝所まで行く人は多いのですが、それ以降だと人はかなり減ってきます。
稲荷には商売繁盛というご利益もあるので、本当にたくさんの人が鳥居を寄進しています。一番小さいのでも20万円ぐらいのようです。高価ですが、お稲荷さんに鳥居を建てられるなら安いぐらいなのかもしれませんね。
なお、頂上までは結構な階段になっているので、普段歩きなれていないとなかなか大変な道のりになるかもしれません。ただ、道を直行するのではなく、お塚を見ながらたまには道を逸れてゆっくり上がっていくことをお勧めします。
稲荷山を登る
四つ辻に到着すると、京都盆地を眺めることができます。ここで帰る人も多いのですが、実はここから七神蹟の参道がはじまります。全長5kmほどの参道が整備されており、一周回って、だいたい1時間半ほど。お塚をいろいろ見ながら回ると2時間ぐらいです。
左回り(時計回り)、右回り(半時計回り)のどっちでもいいようですが、右回り(反時計回り)の方が坂が少ないかも。私たちは左回り(時計回り)に歩いています。
なお、稲荷山は稲荷信仰の聖地ということもあり、修行の場。なんとも緊張した空気が漂う気がします。
御膳谷奉拝所は七神蹟の1つです。かつてはお供え物の神饌が作られたと言われるところです。この御膳谷のところにお塚が多く、道からそれて奥の方までいくとほとんど人がいないので、お塚をよく観察できます。
お塚はじっくり見てみると、祀ってある神の名前が書いてあるのですが、その神の名前は古事記登場するような神ではなく、〇〇大神という個人が崇拝してきた稲荷神の名前が書かれていますね。稲荷信仰を持つ人はこういた無数のお塚の中から自分に縁があるものを見つけ出すようです。
ちなみに雰囲気的に高野山の奥の院に似ているので、外国人の中にはこれがお墓だと思っている人も多いです。もちろんこれらはお墓ではなく、神の依り代いわば神社なんですよね。
長者社まで来ました。祭神は加茂玉依姫。
神社の隣には、三条小鍛冶宗近が稲荷神の助けを得ながら鍛えたと言われる名刀『小狐丸』ゆかりの井戸があります。
一ノ峰・頂上へ
頂上には一ノ峰が建っています。ちょうどこの辺りが稲荷山の頂上で、高さは233m。なかなか遠かった気がします。残念ながら展望はありません。
一ノ峰には末広大神を祀ります。末広大神も稲荷神の1人なんでしょう。
一ノ峰の周りにもたくさんのお塚があります。こうやってそれぞれの神がそれぞれの信仰を集めているのは何とも日本らしいですね。神は決して一人ではない。どの神が勝っているとかもない。これが日本的な考え方なんですよね。まさに、この稲荷山には日本の宗教に対する考え方があると言えるような気さえします。
稲荷山を下る
さて、一ノ峰が頂上なので、ここからは下り。ここからは結構楽です。とはいえ、下りにもまだまだ神社はあり、鳥居もずっと続きます。
四つ辻に戻ってきました。最後の荒神峯はこの四つ辻のところから階段を上ったところにあります。見落としやすいので、注意が必要です。
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