和歌山県

黒河道を歩く【高野参詣道】

高野山への参詣道として最も有名なのが町石道、そして最も簡単なのが京大坂道。しかし忘れてはいけないのが、2016年に世界遺産に追加された黒河道です。黒河道は橋本から南にほぼ一直線に高野山に向かう道です。1594年に秀吉がこの道を使って高野山を降りたという記録もあり、古くから巡礼道として使われてきた道です。

黒河道は人通りが少なく、クマが出る可能性があります。クマ鈴必須です。

黒河道

黒河道は橋下市賢堂にある定福寺から高野山金剛峰寺まで16kmの道のりです。町石道と比べると若干アップダウンが激しい感じです。すべて歩くと7~8時間程度です。

黒河道のスタートの最寄り駅は橋本駅。この橋本駅周辺にいくつかコンビニがありますが、ここで今日の食料や飲み物を調達しておくことを強くお勧めします。

定福寺~明神ヶ田和~市平橋

橋本駅を出ると定福寺まで向かいます。橋本駅からは橋本橋で紀ノ川を渡り、駅から歩いて20分ほどのところに定福寺があります。

そして、定福寺から少し登ると登山口です。早速山道ですが、しばらく行くと開けたところに出ます。向かいの紀泉アルプスがよく見える絶景ポイントです。

黒河道には500mおきに看板があるので迷わずに歩けます。1から子継峠の26まであり、子継峠からは女人道に合流して女人道まで5kmほどって感じです。

定福寺
寺。入り口の石塔は1285年のもの。
定福寺からの登り
早速山道です。
黒河道2番の道標
どんどん登っていきます。
紀泉アルプス
紀泉アルプス。低くなっているところが紀見峠かな。

さて、ここからは明神ヶ田和までは標高450mほどまで一気に登ります。結構きつい登りです。

『まぁ最初はきつくても、一度登ってしまうと後は歩きやすい平坦な道になるんだろな…』なんてのは甘い考え。この黒河道は最後まで気が抜けず、かなり大変です。

五軒畑岩観音
五軒畑岩観音。
弘法井戸
弘法井戸。弘法大師が加持に使った水
黒河道の山歩き
気持ちがいい山歩きです。

明神ヶ田和まではきつい登りでしたが、ここからは市平橋に向かって下っていきます。登っていく道もあるので、道を間違えないように注意が必要です。

町石道はいったん登るとこういった下りはあまりなかった気がしますが、この黒河道はアップダウンが結構激しめです。

市平橋への下り
ここから市平橋に向かって下っていきます。
黒河道
獣道みたいだ
黒子道
結構薄暗い感じ。滝なんかもあったりします。

山を出ると市平橋。ここは標高が180mなので、だいぶ降りてきた感じです。

すぐ下には丹生川が流れています。この道をまっすぐ行くと高野下の駅まで行けるようですが、駅まで10km以上あるのでかなり遠いです…

玉川峡
玉川峡

市平橋~久保小学校~粉撞峠

市平橋からは粉撞峠まではきつい登り。橋を渡って初めは林道ですが、すぐに山道になります。

ここからまずは、くどやま童話森の童話館(旧久保小学校)を目指します。ここで野犬(?)に追われるハプニングが発生しました。人懐っこい犬だったので、おそらく放し飼いの犬かな? 

そういえば弘法大師が高野山を開いた際も、高野明神が犬に姿を変え、弘法大師を高野山まで先導したと言われています。

市平橋
市平橋を渡ります。
市平春日神社の桂の木
市平春日神社の桂の木(階段の上)は樹齢300年とも言われます。
黒河道13番の道標
もう13まで来ました。ちょうど半分くらいでしょうか。
黒子道を先導する犬
犬が先導してくれています。高野明神みたいな話です。

道はずっとかなりきれいに保たれています。ただ、所々道がかなり狭く、人が一人ぎりぎり通ることができる感じのところがあります。

祠
祠があります(画面中央)
黒河道
とにかく誰もいません。

くどやま森の童話館まで来ました。もともと久保小学校だったようですが、。2006年に休校となり、今は図書館のような施設になっているようです。

ただ開いているのは週末のみのようで、トイレとかはありません。

久保田和の石仏
久保田和の石仏
くどやま森の童話館
木造の小さな小学校です。桜が満開です。ほんとにきれい。

ここらは再びきつい登り。黒河峠を経て高野山に行くコースもありますが、黒河道は太閤坂コースをすすみ、粉撞峠まで一気に登っていきます。

No. 25までは厳しい登りですが、25からは平たんな道。思い返すと黒河道にはあんまり平坦な道がなかったような気がします。

粉撞峠への道
電柱が立っていますね。生活道路なんでしょうか。
粉撞峠への道
クマが出そうな雰囲気です。
粉撞峠への道
木々の間からいい眺めです。
雪池山への分岐
雪池山への分岐。雪池山の頂上付近はきつい坂があります。

とうとう粉撞峠まで来ました。ここには室町時代に銘文が彫られた作られた粉撞地蔵があり、そのことからこの黒河道が室町時代から存在することがわかります。

標高は918mとかなり高めの峠。ここに26の看板があります。黒河道はここから高野三山のハイキングコースと合流し、高野山まで目指します。もうすぐ高野山です!

粉撞峠
粉撞峠

粉撞峠から転軸山

ここからはそれほど厳しくなく、ゆったりとした山歩き。黒河道は歩いている人はいませんでしたが、ここからはちらほら歩いている人を見かけました。

看板は36から52まで続きますが、ここからは500mおきに立っているわけではないようです。

天軸山への道
山登りというよりハイキングらしい感じです。
一本杉
一本杉。樹齢700年以上と言われる巨木

きついのは転軸山に登るところでしょうか。

転軸山は915mとかなり高い山ではありますが、すでに900m近いところにいるのでそれほどきつい登山ではありません。

天軸山へ
最後の登りです。
天軸山の頂上
天軸山の頂上からの眺望は特にありませんでした。
山道の終わり
とうとう出てきました!!

終点の黒河口、壇上伽藍へ

高野山森林公園の山を出てくると、中の橋霊園付近を歩いて住宅地を抜けながら高野山の中心部へと向かいます。

そして高野町役場のすぐ手前の『鶯谷』と書かれたバス停のすぐ近くにゴールである黒河口や黒河女人堂跡があります。今は看板が残るのみです(看板は少しわかりにくいところにあります)

高野山は長いこと女人禁制だったので、女人堂から先は女性は立ち入ることができませんでした。

ここから歩いてすぐに高野山の中心である壇上伽藍です。

黒河口
左上に看板があります
黒河口
黒河口を示す看板。ここが黒河道の終わりです。

さて、長かったですが18km、橋本から長いこと歩いてきました。時間は7時間30分。アップダウンも激しく、町石道よりかはかなり厳しめだった感じがします。なんとかゴールすることができました。

やっぱり高野山を歩くのはいいですね。とってもいい山歩きでした。

壇上伽藍の東塔
壇上伽藍の東塔。高野山を象徴する建物です。

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