常光寺と河内音頭【流し節正調河内音頭】
大阪の八尾市。この町は今では大阪市にほど近いベッドタウンとして知られていますが、実はこの町には古代から現代までの様々な歴史が詰まっており、住みやすさという点を考慮しても、大阪でも本当に魅力がある町の一つだと思います。中でも常光寺は河内音頭発祥の場所として多くの人が訪れる歴史あるお寺です。
常光寺の歴史
常光寺の歴史は古く、奈良時代の初め聖武天皇の勅命により、行基が開眼したと言われています。しかし、この寺は南北朝の戦火に巻き込まれ、焼失。復興するのは1385年、足利義満は高野山参詣の際にこの寺を訪問した時のことであり、京都の木材を再建のために寄進しました。大阪夏の陣では八尾・若江の主戦場になったのですが、家康のブレーンであった金地院崇伝がこの寺を抱え寺としていたので、何とか戦火を逃れることができたようです。
本尊としているのは地蔵菩薩で、小野篁が平安初期に作った木彫りの像です。本尊は秘仏で、河内音頭が開かれる8/24に公開されます。
常光寺と河内音頭
常光寺は流し節正調河内音頭と呼ばれる盆踊りで有名なのですが、この流し節は8/23と8/24日に行われます。
盆にしては遅くない?と思った人は鋭いですね!確かにお盆は8月の中頃ですから、盆だとすればだいぶ遅いです。しかし、このお寺でおこなわれる盆は一般的な盆つまり盂蘭盆会ではなく、地蔵盆なんです。
地蔵盆は実は関東にはない風習です。毎月24日は地蔵菩薩の縁日とされており、盆に近い8/24は地蔵盆と呼ばれています。この日には辻に立つお地蔵さんに提灯をつけ、地域の子供たちが集まってお地蔵さんの世話をします。地蔵菩薩は親より先に亡くなった子供が成仏できないでいるのを助けるという役目があり、この地蔵盆の主役は子供なのです。
本来、盆踊りというと盂蘭盆会の日に行いますが、常光寺の盆踊りはここの本尊が地蔵菩薩であるということもあり、この地蔵盆の日に行われているのです。
流し節正調河内音頭
地蔵盆には多数の人が訪れます。普段は静かな場所なんですが、この日はとても賑やかでした。
河内音頭は今では全国的に有名ですが、常光寺の河内音頭、いわゆる流し節正調河内音頭は少し違います。流し節は、天の網島や崇禅寺の仇討といった文楽のテーマとなっているような物語を音頭に詠み込み、比較的ゆっくりと踊ります。
この流し節の原型は、この寺が足利義満によって造営の材料が京都より寄進され、材木を運ぶときにうたった歌が木やり歌が原型となっており、その木やり歌が変化したのが「正調流し節河内音頭」となっています。600年以上の歴史がある音頭でなんです。
この流し節が行われるのは7時から9時です。境内に座ってゆっくり眺めるのもOK, 参加もOKの自由な盆踊りです。ゆったりとした踊りで、いかにも盆踊りといった感じです。次の現代版河内音頭と比べるとその差は明白です。
現代版河内音頭
9時を過ぎると常光寺では現代版河内音頭が踊られます。1900年代、河内音頭に浪曲やエレキギターやキーボードといった要素が取り入れられ、爆発的な人気を得ました。その人気のためか、現在では河内音頭といった場合は基本的にこの現代版河内音頭を指します。流し節同様、歌詞が決まっておらず、時事ネタ等を織り込んでさまざまな歌詞にアレンジされるのがおもしろいですね。また、踊りも非常にエネルギッシュです。現代版河内音頭に関しては、大阪だけでなく、東京などでも踊られていたりするので、見かけることがあるかも。
なお、この現代版河内音頭は同じ河内の交野節から発展してできたものだと言われており、流し節とはあまり関係がありません。同じ河内音頭なのですが、名前が少しややこしいです。大阪の夏の伝統を味わいたいなら是非常光寺へ!!
常光寺のアクセス情報
住所 |
大阪府八尾市本町 5-8-1
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サイト |
https://www.jyokouji.com/
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行き方 |
近鉄八尾駅から徒歩10分。JR八尾駅からは遠いです。
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拝観時間 |
河内音頭は8/23,24に行われ、流し節は19:00から始まります。
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入場料 |
無料
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そのほか |
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