熊野古道・紀伊路を歩く 5: 海南~湯浅

大阪市内を出て、紀伊路ももう中盤に差し掛かってきました。海南を過ぎると、紀伊路は電車から離れて、山の中を通っていきます。この区間は途中、藤白坂や拝の峠などのいくつかの峠があり、一気に歩こうとすれば結構体力を必要とするところですが、12月の初めには斜面一面のみかん畑がとても和歌山らしく、ユニークなトレイルです。

※紀伊路の全行程の記録や他の熊野古道の記事はこちら

熊野古道・紀伊路を歩く5: 海南~湯浅

海南から藤代神社

海南駅を降りて東へと直進して5分ほど行けばすぐに紀伊路です。海南は和歌山駅から約15分ほど。大阪市内からくる特急『くろしお』も止まるので、アクセスもいいところです。駅前には特に何もないのですが、コンビニがありました。和歌山では駅前にコンビニがあることが少ないので、なんともうれしいです。

道に沿って歩いていくと、小さな菩提坊王子があり、さらにもう少し行くと祓戸王子があります。祓戸王子は小高い丘の上にあり、紀伊路から10分ほど逸れて山道を上がったところにあるので、少し見つけにくいです。

熊野古道・紀伊路の菩提坊王子
菩提坊王子(左)
熊野古道・紀伊路の祓戸王子
祓戸王子

藤白神社

海南駅から歩いて20分ぐらいで藤代神社です。境内には藤代王子も祀られており、藤代神社は熊野古道で唯一本持仏を祀るなど、仏教色が色濃い神社になっています。とはいえ、熊野詣自体が仏教と神道が混ざったものなので、これが本来の熊野詣の形なんでしょう。

平安時代には、この藤代神社に鈴木氏が熊野からきて、鈴木氏は全国に多数の熊野神社を建てました。そのため、この神社は鈴木姓の発祥地ともされており、全国から鈴木さんがこの神社に参拝に来ているようです。

藤白神社
藤白神社
熊野古道・紀伊路の藤白王子
藤白王子

藤白坂

藤代神社を出ると、すぐに藤白坂に至ります。坂とは言うものの、紀伊路の中でも難所のうちの1つで、結構きつい山越えです。下から上までは17もの地蔵が建てられており、峠を登るにつれて山道になっています。ここから御坊までは峠も多く、なかなか大変な区間です。

藤白坂
なかなかきつい坂を上がっていく感じです。

藤白坂の頂上まで来ると、地蔵峯寺の中にに藤代塔下王子があります。王子は神社のことが多いんですが、ここはお寺なんですね。

お寺の裏には『御所の芝』と呼ばれるところがあり、そこから見る景色はとてもきれいですよ。海南市と和歌山市の海がよく見えます。紀伊路の醍醐味は、まさにこの海沿いに立つ山々を歩くことなんだと思います。

地蔵峯寺
地蔵峯寺
御所の芝からの海南市と和歌山市
海南市、そして和歌山市がきれいに見えます!!

有田みかんの里、有田市へ

藤白坂を過ぎると、紀伊路は海南市を出て有田市へ入ります。もちろん、有田みかんで知られるみかんの一大生産地。紀伊路もこのみかん畑の中を下っていきます。ただ、本当にみかん畑の間を突っ切って行く感じなので、道がかなりわかりにくいのと、あまり整備されていないので歩きにくいです。ここはそのまま舗装された農道に沿って降りていってもいいのかも。下で合流するのでどっちで行ってもあんまり変わらないような気がします。

有田市のみかん畑
みかん畑の間を下っていきます。
真ん中の段々畑になっているところ、ぜーんぶみかん畑です!!
みかん、みかん、みかん!!

山から下ってくると、拝の峠まではしばらく集落の中を歩くので、結構楽です。途中いくつか王子も通過するので見逃さないようにしなければいけません。

熊野古道・紀伊路の橘本王子
橘本王子
熊野古道・紀伊路の所坂王子
所坂王子。橘本神社内にあります。
熊野古道・紀伊路の一壺王子
一壺王子。山路王子神社の中にあります

拝の峠

一壺王子を過ぎると、坂を上がって拝の峠を上がっていきます。今日の2つめの峠です。ここもなかなかきつい坂です。みかん畑の作業用に使われるからか、道はほぼずっと舗装されている感じです。峠を上がると景色が本当に綺麗です。

みかん畑が多いですが、残念ながら人の通行量がそもそもほとんどないので、田舎にありそうな、みかんを売っているスタンドはこの周辺にはありませんでした。もしあれば、絶対買うんですが。

右も左もみかん。こんなに多くのみかん、どうやって収穫するんだろう…。
ここもまたみかん!
拝の峠を上がっていきます。
拝の峠からの景色。海と山とのコントラストが本当に綺麗です。

紀伊宮原

拝の峠を下ると湯浅市に入ります。やっと湯浅かと思うかもしれませんが、実は湯浅駅まではまだまだです。下ってくるとすぐに蕪坂塔下王子です。

熊野古道・紀伊路の蕪坂塔下王子
蕪坂塔下王子(かぶらさかとうげおうじ)
熊野古道・紀伊路の山口王子
山口王子
山からおりてきました!しばらく平地歩き。

紀勢本線を超えて、さらに進むと有田川を越えます。和歌山の中部では一番大きな川です。ちょうどこの辺りに、小さなお寺ではありますが、中将姫ゆかりの得生寺もあります。中将姫は奈良の当麻寺で知られる姫で、当麻寺の本尊ともなっている当麻曼荼羅を作った姫。父の再婚後、義母に嫌われ、このお寺の近くの雲雀山で義母が送った刺客に襲われました。

雲雀山の入り口は紀伊路沿いにあり、200m程度の小さな山。時間がないのでいけませんでしたが、行きたかったなぁ…。当麻寺は間違いなく夫婦2人の中で、関西ベスト5に入るお気に入りのお寺です。

有田川
有田川。大きな川です。
得生寺
得生寺。当麻寺で有名なお練供養もやっているお寺です。
糸我神社
糸我神社。この神社は日本最古(?)の稲荷です。
雲雀山の登り口。行きたかったなぁ…。

糸我峠

今日の最後の峠として登るのは糸我峠。それほどきつい峠ではないのですが、もうすでに2つの峠を越えていたら、体力的にもかなりきつく感じます。山頂の辺りは紀伊路の旧道が残っているようで、道が舗装されていません。

熊野古道・紀伊路の糸我王子
糸我王子
和歌山は山にかこまれた、本当に綺麗なところです。
途中から山道に変わります。
熊野古道・紀伊路の逆川王子
逆川王子

醤油のまち湯浅へ

糸我峠を降りてきたらあとはまっすぐだけ。途中、方津戸峠を越えるのですが、ここの峠はずいぶん小さく全く苦労しません(すこし道がややこしいですが)。ここまでくれば湯浅ももうすぐです。

湯浅は醤油の発祥地ですね!もう少し南にある御坊とともに、和歌山県の中部では最も大きい都市の1つです。紀伊路からすこし離れたところには、伝統的建造物群保存地区があり、古い建物が多く残っています。もちろん、醤油やみかんなどを売っているお土産屋もたくさんあったので、是非寄ってみるといいのかも!!

方津戸峠。峠かどうかもとくわかんないような感じです。
湯浅の歴史的な街並み。

さて、遠かったですが、ようやく湯浅に到着です。今回は熊野古道・紀伊路を海南から歩きましたが、途中に峠も多かったので、かなり疲れてしまいましたが、体力に自信がない人は紀伊宮原で分けてみてもいいのかも。今回も、みかん畑や美しい景色など、見どころは多く、とてもユニークな道のりでした。次回は、湯浅から御坊を目指します!!

湯浅駅。大きく見えますが、かなり小さい駅です。

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