延暦寺・西塔【比叡山】
延暦寺は広く、東塔と西塔、そして少し離れて横川があります。根本中塔がある東塔が中心ですが、その東塔の隣に立つのが西塔です。
延暦寺・西塔
西塔は東塔から歩いて20分ほどの場所にあります。東塔や横川と比べると少し小さめですが、それでも普通のお寺と比べると大きい方です。
東塔を建立したのは最澄ですが、この西塔は最澄の意思を継いだ天台座主2世の円澄によるもの。
延暦寺というと全て最澄が作ったかのように思えますが、そうではないんですね。いろいろな人が天台宗の発展に貢献してきたんですよね。
入るとすぐにあるのが、西塔のシンボルとも言える担い堂。担い堂は阿弥陀如来を本尊とする左の常行堂、普賢菩薩を本尊とする右の法華堂からなるのですが、これが廊下でつながっています。担い堂と呼ばれたのは弁慶がこの2つのお堂を担いだからと言われています。
常行堂で行われる常行三昧や法華堂で行われる法華三昧は天台宗で行われる修行で、阿弥陀如来の周りを90日間ひたすら念仏を唱えながら歩き続ける修行です。
かなりきつそうですね。延暦寺はこうやって熱心に修行に励むお坊さんが多くいる印象があります。
西塔の中でも中心にそびえる建物は釈迦堂です。この釈迦堂は延暦寺の厳しいライバル関係にあった三井寺の金堂を秀吉が16世紀に移転したもの。建てられたのは1347年で、延暦寺の中では最も古い建物です。
この釈迦堂には最澄の作った釈迦如来像が安置されていますが、他の延暦寺のお堂同様に仏像が低い位置に安置されており、仏様と参拝者の目線が合うようになっています。
西塔の奥にそびえるのが山王院。千手観音を祀るお堂ですが、円仁と円珍の対決が激しくなると円珍派はここから円珍の木造を背負い、三井寺へ向かったと言われています。
そこから三井寺vs延暦寺の長い戦いが始まります。
西塔は大きな場所ではないのですが、人があまりいないのでゆっくり観ることができます。横川までは行きたくないけど、ディープな延暦寺も観ておきたいという人にはオススメの場所ですね!!
浄土院
東塔から西塔に向けて少し歩いていったところにあるのが、浄土院と呼ばれる小さなお堂。その小ささからほとんどの人が立ち寄らないのですが、実はこの浄土院こそが、延暦寺の中で最も神聖な場所の一つです。
神聖な理由というのは、実はこの浄土院には天台宗の祖である最澄の御廟所があるんですよね。最澄はこの延暦寺で入滅し、今では僧が12年間、延暦寺を絶対に離れないという誓いのもと、最長の墓をお世話しています。
高野山の空海の墓である奥の院と比べるとなんとも簡素ですね。しかし、空海と違って最澄が神格化されなかったことこそ、この比叡山が日本最高峰の仏教修行の地になることとなった理由なんでしょうね。
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