大阪府

暗越奈良街道をハイキング【暗峠】 

大阪から奈良へ行く数多の道の中でも最短距離で大阪と奈良を結び、江戸時代に盛んに利用されたのが、この『暗越奈良街道』です。かなりの急坂なので、大阪側から登るのはかなり大変ですが、峠付近には今でも昔の風情が残っており、楽しいハイキングが味わえますよ!!

※暗越奈良街道は伊勢本街道の一部です。伊勢本街道の全行程の記録はこちら

暗越奈良街道

枚岡神社から暗峠へ

暗越奈良街道は正確には大阪の高麗橋から奈良の興福寺まで続く街道で、全長約35kmあります。

多くが住宅地になっているので、全部歩く人はほとんどいないのですが、その一部の枚岡から南生駒までの区間は途中に生駒山地を超える暗峠があり、ハイキングとして人気のコースになっています。

さて、枚岡神社をスタートします。枚岡神社は河内国の一宮としてこの河内地方では一番大きな神社です。

梅の名所でもあり、その美しい香りは日本の『かおり風景100選』にもなったぐらいなのですが、梅は残念ながらウメ輪紋ウイルスにかかり、全て切られてしました。もうすぐ復活するみたいですけどね!!

枚岡神社
枚岡神社。紅葉がきれいで梅の名所として知られる神社です。

暗越奈良街道は近鉄の枚岡駅から少しだけ北に行ったところにあります。

一応ですが、国道308号線という扱いなので、地図アプリなんかでは大きく表記されていますが、実際にはかなり細い道で、とても国道とは思えない道です。

道のほぼ全域が舗装された道なので、ハイキングはもちろんのこと、バイクや自転車でも通行可能ですが、途中坂があまりにもきついので自転車だと登りは大変かも。

暗越奈良街道のきつい登り
さてどんどん上がっていきます。最初からなかなかの坂です。
綺麗な景色ですね。もうだいぶ来た気がしますが、実はこれからです。

そしてスタートしてすぐに悪夢のような坂が始まります。行った人にしかわからないような、言い表せないほどきつい坂です。

最大の傾斜はなんと31度。これは100m進めば、31m上昇することを意味しています。

昔はこのような急峻な谷を流れる川を利用して、水車が作られ、針金の製造や製粉といった産業が昭和まで盛んでした。そして、これがのちの『モノづくりのまち東大阪』へつながっていきます。

昔の人は自然とうまく共存していたんですよね。

松尾芭蕉の句碑
松尾芭蕉も暗峠を1694年に越え、大阪の南御堂のあたりで亡くなりました。
成願寺

登り始めて気づいたのですが、この暗越奈良街道には平らな場所がほとんどありません。いつこの坂は終わるんだろうというぐらい長い坂です。

そして歩く人を想定しないのか、ベンチなど休めるところもなく、国道なので道に座るわけにもいきません。思っていたよりもかなり大変です。

暗越奈良街道沿いにあるお塚
お塚ですね。この生駒山山麓にはこういった民間宗教がとても多く存在しています。
暗越奈良街道の急坂
なんかもうすごいなこれ… 転んだら一気にころげ落ちそう。
暗越奈良街道の急坂
曲がり切れないと壁に激突してしまいそう。
弘法の水
弘法の水。ここの水は煮沸しないと呑めないみたい(?)

登り続けて45分。開けた場所に出てきました。ここでちょうど暗越奈良街道が生駒縦走歩道と交差します。

生駒縦走歩道は生駒山系を縦走するハイキングトレイルで、北は四条畷から南は高安山の方まで続く45キロの長距離のハイキングトレイルです。

ここまで来れば、あと15分で頂上です!!

暗峠は左。生駒縦走歩道は右。右に行けば、なるかわ園地です。
暗峠奈良街道
もうすぐ頂上です!!

暗峠

枚岡から歩き始めて1時間程度で暗峠に到着です。長かった… そして疲れました。

峠付近までくると、石畳の道に変わります。この辺りは古い時代の雰囲気を残しているので、『日本の道100選』にも選ばれています。

車が止まっていたりしますが、おそらく奈良県側から来たんでしょうね。

暗峠は生駒山(642m)を主峰とする生駒山地を超える峠で、標高は445m。江戸時代には奈良と大阪を結ぶ最短の道として頻繁に利用されたと言われていますが、大阪ー奈良間をつなぐ他の街道と比べて坂は比べものにならいぐらい厳しかったです。

なぜ暗峠という名前なのかというと、それは昼間でも木が茂って暗かったからとか言われていますが、今では峠付近を信貴生駒スカイラインが通り、昼間はとても明るいです。ちょうどこの暗峠で大阪と奈良の県境になっています。

『河内名所図会』には暗峠の様子が描かれており、昔はたくさんお茶屋があったようですが、今では頂上にあるお茶屋は1つだけ。通行量を考えると、1つあるだけでもすごいんですけどね!!

暗峠
暗峠。奈良県から大阪側を見た感じ。
暗峠。大阪府から見た奈良県側。
暗峠。大阪府から見た奈良県側。

ぼくらの広場へ

実は峠付近から大阪方向のきれいな景色を見ることはできません。

そこでおすすめしたいのが、『ぼくらの広場』。この暗峠から15分ほど歩いたところにあり、そこから見る大阪の景色は最高に綺麗です。

夜景もきれいで、夜に来る人もいるようですが、夜は山道なのでかなり真っ暗なんでしょうね。

ぼくらの広場へは、峠の頂上にある喫茶店の横の細い道から15分ほど山道を歩いたところにあります。坂はそんなにきつくなく、かなり広い広場にもなっているので、お弁当を食べるのにもまた最高な場所です。

ぼくらの広場から見た大阪
ぼくらの広場から見た大阪。大阪が全部見えます。

大阪の山はほとんど全て行ったと言えるほど多くの山に登っていますが、間違いなく、ここからの景色が大阪で一番綺麗です。

体力と時間に余裕がある人は是非!!

暗峠から南生駒駅へ

さて、あとは奈良までずっと下りです。

暗峠は大阪側から登るほうが坂がきつく、奈良側から登るほうがはるかに楽なんですよね。そういった事情もあり、ハイキングの場合は奈良側から登る人のほうが多いようです。

もし疲れたら、峠付近から南生駒駅まで生駒市のコミュニティーバスが通っているので、それを使ってもいいのかも。

暗峠から見た奈良
奈良側は峠からきれいに見えます!!
西畑の棚田
西畑の棚田
すこし逸れると1284年に彫られた阿弥陀如来立像。
さて、暗峠から下りてきました。下りるのはそんなに大変ではなかったです。

そしてとうとう南生駒駅到着です。思ったよりずいぶんきつい坂道でした。阪奈間の道と言えば、やっぱり竹内街道ですが、暗越奈良街道のほうがかなり厳しかったです。

南生駒まで来ると近鉄生駒線があり、大阪まで戻ることができます。もしくは、暗峠奈良街道をさらに進み、奈良まで歩く人もいると思いますが、奈良まで行く場合は矢田丘陵を超えなければいけません。ただ、暗峠ほどきつい道ではないのですが。

奈良市内まではあと4時間程度って感じでしょうか。大阪から奈良なんて電車だとすぐなのに、やっぱり歩くとかなり遠いです。

近鉄南生駒駅。
南生駒駅。ここから難波までは30分ぐらいです。

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