和歌山県

熊野古道・紀伊路を歩く Final: 切目~紀伊田辺

大阪から紀伊田辺まで続く熊野古道・紀伊路。長かったこの紀伊路も大阪から150キロほど歩いて、今回がとうとう最後となりました。今回もまた海沿いのとてもきれいな道が続きます。途中には風光明媚な砂浜歩きもあり、和歌山を堪能できる素敵な古道です。

※紀伊路の全行程の記録や他の熊野古道の記事はこちら

熊野古道・紀伊路を歩く Final: 切目~ 紀伊田辺

切目から千里の浜

和歌山から紀勢本線の電車に揺られて約1時間半。切目の駅に到着します。かなり小さな駅で、周りにコンビニもないので、食料などはどこか他の場所で買ってから来ることをおすすめします。

切目駅からは小高い丘を登り、頂上に中山王子があります。

熊野古道・紀伊路の中山王子
中山王子神社。ここでドーベルマンみたいな野犬(?)がいました…
中山王子付近の道
雑木林みたいなところを下っていきます。

そして駅から歩いて1時間ほどで海に出てきます。今日はここからほぼずっと海沿いを行きます。すごくきれいな海です。

途中、国道42号線も歩いて岩代駅の方へと向かいます。

紀伊路の海辺の道
林を出ると海。本当に綺麗な海です。
紀勢本線
国道42号線から。左には紀勢線の線路が見えます。電車が来てくれたらなぁ…

岩代駅付近で踏切を超えると、目の前は大きな砂浜でとてもきれいです。そして、この砂浜の上に岩城王子があります。台風が来たら、高潮で沈んでしまいそうな感じです。

熊野古道・紀伊路の岩代王子
岩代王子。周りの木を見てみると南紀っぽさが出てきています。
岩城のビーチ
今日はビーチが多め。今日はもうここで泳いで帰りたいような気分です。

岩代駅を過ぎると一度海を離れて梅林の中を通ります。この辺りはみなべ町で、江戸時代の初めから梅の生産が盛んなところです。というのも、日本の梅の6割が和歌山県のもの、さらにその和歌山県の中でも南部は梅の生産が多いところです。関西では梅といえば南部、そして何より南部は南高梅の発祥地でもあります。

南高梅の木
全部梅!!左に見えるビニールハウスの裏の道から未舗装の道へと入ります。
南高梅
梅。まだ小さいですね。
紀伊路の林道
まっすぐ行き、線路をくぐると海に出てきます。

千里の浜

千里海岸に出てきました。ここもきれいな海で、1.3kmの海岸が続きます。伊勢物語や大鏡はじめ、様々な文学作品に登場する景勝地です。紀伊路はこの千里海岸を歩いて、千里王子へと向かいます。砂浜を歩くのはなんともユニークですね。熊野古道すべてを見ても、砂浜を歩くのはこの部分だけ。なんとも風光明媚です。

千里の浜
千里の浜。ずーっと砂浜が続く感じ。
千里の浜
この辺りは泳ぐには少し岩っぽいかな?

この海岸にあるのが千里王子。ここは石碑ではなく、千里王子神社になっているのですが、神社自体は古くからあるものではなく、熊野詣がすでに廃れた18世紀建てられたもののようです。王子自体は移設されており、建物だけが残っています。

千里王子神社
千里王子神社

千里の浜から南部へ

千里王子からは千里梅園の中を歩いていきます。梅の季節には本当にきれいなんでしょうね。南部にはところどころ梅園もあるので、梅のシーズンにはぜひ来てみたいところですが、大阪から特急で2時間もかかるからなぁ… 

紀勢本線の線路
電車と梅の写真を撮れたらなぁ… 電車がなかなか来ないんですよね。
南高梅の林
本当に梅しかありません。

梅園を通って、丘の頂上まで来ると、南部峠。今ではほとんどの人が国道を通るので、交通量はほとんどないのですが、明治時代に国道ができるまではこの峠を行くのが普通でした。この南部峠を下ると、南部町の中心部。紀伊田辺ももうすぐです。

南部
南部の町並み。

南部

峠を降りてくると、梅干館がありました。さすが梅の町。梅干しの工場見学から、様々な種類の梅干しを扱うお土産屋まである梅干のデパートのようなところです。

そこからすぐ近くの南部川を越えると、南部の中心部です。今では特急もとまる和歌山でも中規模の町で、駅の周辺には若干市街地のようなものがあり、南部海岸沿いにはコンビニもあります。紀伊田辺も近いので、徐々に都会になってきている感じでしょうか。

梅干館
梅干館。
南部駅
南部駅。一部の特急も止まる駅です。特急で大阪市内から2時間程度です。

南部の中心部には三鍋王子があります。さらに、この三鍋王子から紀伊路を歩いて15分ほど行くと鹿島神社があり、南部王子の本殿が移築されています。18世紀に建てられたもので、王子神社の建築としてはかなり古いもののようです。

三鍋王子
三鍋王子
鹿島神社 
鹿島神社。この本殿が三鍋王子社の本殿でした。

紀伊路の終点、紀伊田辺

南部から紀伊田辺までは1時間半ぐらいって感じです。途中、坂も特になく、国道からは1本入った道を行くので、車もそれほど通らず歩きやすい道です。

南部の海岸
もう本当に海がきれいです。

途中、清姫の袖摺岩と呼ばれる場所があります。この清姫とはもちろん、安珍・清姫の清姫です。袖摺の名前からもわかる通り、袖を摺ったところなんでしょうね。

この袖摺岩には降りることができたので、降りてみるともの魚はもちろん、珍しい海洋生物が多く見つけられました。なかなか楽しいスポットです。2人で生き物を見つけていると気づいたら1時間以上経っていました… 

袖摺岩
袖摺岩。行ったときはちょうど干潮だったようです。
うに
うに?ガンガゼかな?
うみうし
うみうし? 日本語は『うし』ですが、英語ではsea hare。hareは『うさぎ』です

この袖摺岩から集落を抜けて行くと、芳養王子です。大神社内にあります。ここまで来ると田辺市。交通量も増えてきました。本当にゴールです。なんか長距離の街道を歩くと、ゴールが近づくたびにどんどん寂しい気持ちになります。

大神社
大神社。
塩垢浜跡
塩垢浜跡。田辺からは山の中に入っていくので、ここで海水で清めました。
紀伊田辺の市街地
紀伊田辺の市街地に来ました。

さて、とうとう来てしまいました。紀伊路の最後となる王子が出立王子。熊野への出立ということで、この名前だそうです。ここまで海沿いの紀伊路を来ましたが、ここから中辺路となり、山の方へと向かいます。また、さらに海沿いに白浜、串本、勝浦へ下っていく大辺路もこの紀伊田辺から分岐します。

出立王子
出立王子。紀伊路最後の王子です。
田辺から見た熊野方面
熊野の方はかなり山が深そうです。
紀伊田辺駅
ということで紀伊田辺駅。南紀への玄関となる駅です。

さて、ということで大阪から出て150km超で紀伊田辺に到着です。紀伊路も初めから終わりまで無事に歩くことができました!!

歩き始めた当初は、紀伊路は中辺路のような山道もなく、世界遺産にもなっていないので、正直なところあまり期待していなかったのですが、全く知らなかった歴史や自然があふれていて、想像をはるかに超えて楽しかったです。熊野古道を歩きたいと思っていて時間もたくさんあるなら、是非、中世の熊野詣のように大阪・八軒屋からはるばる歩いてみませんか。

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