安倍晴明の母はキツネ!? 葛の葉と安倍晴明
以前、安倍晴明について書きました。そこで、安倍晴明は40歳で陰陽師となり、さまざまな超人的力を持って貴人を助けたということでした。では、なぜ安倍晴明はそんなに人間離れした力があるのでしょうか? 実は、彼は完全に人間とは言えず、キツネの母である葛の葉から生まれたという伝説が残されています。,
安倍晴明の母はキツネ!?
安倍晴明が陰陽師になったのは40代のころぐらいですが、それ以前の記録はほとんど存在せず、いったいどのような生い立ちかを含めて、ほとんどわかっていません。しかし、大阪の泉州に伝わる(というか全国的に有名かもしれないですが)伝説に、彼の幼いころに関して非常に有名なエピソードが1つだけあります。それが葛の葉伝説です。
葛の葉伝説を簡単に紹介すると・・・
昔、阿倍野(天王寺のこと)に住む安倍保名(晴明の父)が信太の森にいき、そこで狩りで追われている白いキツネを見ました。保名は身を挺して白いキツネを助けましたが、けがをしてしまいました。そこに葛の葉と名乗る女性がやってきて、保名を看病してくれました。そして、二人はやがて恋仲になり、葛の葉は保名の妻となって、童子丸という子供にも恵まれました。
しかし、ある時、葛の葉が庭の美しい菊の花に見とれていると、油断してキツネの姿にもどってしまい、その姿を童子丸に見られてしまいました。葛の葉は本当の姿を見られてしまったので、もう一緒にいることは出来ないとなくなく別れる決心をしました。その時、葛の葉は襖に
「恋しくば 訪ねて来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛葉」
(※信太は̪しのだと読みます)
と残して去っていきました。
これを見た保名と晴明が信太の森に探しに行くと、彼らは一匹のキツネが涙を流しながらじっと2人を見つめているのに気が付きました。保名が「どうか元の葛の葉の姿に戻ってくれ」というと、キツネは自分の姿を池に移し、たちまち人の姿になりました。しかし、葛の葉は「ひとたびキツネに戻った以上、人間の世界には帰れない」といい、保名らに形見として白い球を与え、再びキツネの姿となって森の中に戻っていた。なお、この保名の息子である童子丸こそがのちの安倍晴明です。
この話は歌舞伎、マンガ、オペラ、落語などになり、安倍晴明に関する非常に有名な伝説の一つとなっています。
聖神社
実は信太の森があったとされる場所は2つあります。それが聖神社と葛葉稲荷神社です。和泉の五社の三番目として、社伝によると675年から存在する神社です。
こちらもJR阪和線北信太駅から行くのですが、駅から歩いて15分ほどで住宅地の中にあるため、かなりややこしいです。また、少し丘の上にあるので、昔はここら辺はおそらく山だったということがよくわかります。
葛葉稲荷神社
JR阪和線北信太駅すぐにあるのは葛葉稲荷神社です。この神社は清明の母がいたとされる信太の森があったとされる場所に建てられているのですが、残念ながらこの神社周辺は完全なる住宅地となってしまっています。
葛の葉は自身を人間の姿に変えた後、この井戸で自身の姿を映してみたといわれています。
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