山陰・九州

関門海峡を歩いて渡る【関門トンネル】

関門海峡は本州と九州の間にある海峡。今日でも多くの船が通る交通の要衝で、壇ノ浦の戦いをはじめ、様々な歴史の舞台にもなった場所です。

そんな関門海峡ですが、車や電車だけでなく、関門トンネルを通って、歩いて渡ることができるんですよね!!

関門海峡

関門トンネルの本州側があるのは下関。この下関から歩いて北九州市の門司へと向かいます。下関側は下関駅からかなり遠く、下関駅からはバスで来るといいのかも。本数も多いので、結構便利です。

とはいえ、途中に赤間神宮や唐戸市場とかもあるので歩いてくるのもなかなかお勧め。下関駅からは1時間近くかかってしまうんですが。もちろん、海峡の景色もとても美しいです。この辺りは早鞆の瀬戸と呼ばれ、潮の流れが急流になっていることから、海岸のようなところもありません。

そもそも、船が頻繁に来るので、泳いだりとかはできなさそうですね。

関門海峡を通過する船
関門海峡。いろんな船が来ます。あれは軍艦?

みもすそ川公園

関門トンネルの入り口は橋のすぐ近くにあるんですが、その入り口にあるのがみもすそ川公園。

みもすそ川公園のあたりが関門海峡の中では最も狭いところで、確かに対岸がはっきりと見えます。上に架かる橋も明石海峡大橋より少し短い気がします。

関門海峡
関門海峡

ちょうどこの辺りが壇ノ浦と呼ばれるところで、源平合戦の最期の戦いの場所となったところです。ここで源氏が勝利し、平家は滅亡。のちに鎌倉幕府を開きました。

最後に平家側についた安徳天皇は二位ノ尼と一緒にこの壇ノ浦で入水をするんですが、彼女の辞世の句「今ぞ知る みもすそ川の 御流れ 波の下にも都ありとは」から来ているんですよね。このみもすそ川は伊勢神宮を流れる御裳川(五十鈴川)のことで、自身が伊勢神宮(天皇)の血が流れていることを主張しているんでしょう。

母親が子供と一緒に海に飛び込むところを思い浮かべると何とも悲しい気持ちになりますね。ちなみに、安徳天皇はこの時、本物の三種の神器を持っていたと言われており、勾玉と鏡はその後見つかったものの、剣はまだ見つかっていません。

壇ノ浦
日本人なら誰でも知っている壇ノ浦。
御裳川
御裳川。川はありません。
源義経と平知盛の像
源義経VS平知盛

大砲が置かれているので、壇ノ浦の戦いでは大砲も使ったのか、と思うかもしれませんが、この大砲はまた別の話。幕末に長州藩が欧米を排除するために関門海峡を通行する外国船に大砲を放っていたんですよね。

これもまたとっても面白い話で、一度は追い払うことに成功するんですが、その後アメリカやフランスの船が来て反撃され、砲台が乗っ取られてしまい、長州はここで外国の排除が不可能だと悟り、徳川幕府の打倒を目指すことになります。歴史の転換点となった戦いでした。

なお、実際に砲台があったのはこの関門海峡から少し離れた前田砲台のあたりです。

関門海峡にある大砲
大砲
前田砲台
前田砲台。占拠されたときの写真もあります(手前の看板)

関門トンネルへ

さて、ようやく関門トンネルへ向かいます。海底トンネルということもあり、まずはエレベーターにのって地下55mまで一気に降りていきます。

駐車場もあるため、車を停めて歩いている人も多く、エレベーターにもそれなりに人はいました。

関門トンネル入り口
あんまりトンネルには見えない入り口です。
関門トンネル内エレベーター
なんかちょっと不気味。

エレベーターで降りてくると、門司まで歩きます。歩行者専用道路で、車は来ません。安心してゆっくり歩くことができます。長さは780mなので、15分程度で歩けてしまいます。歩行者だと無料なのがうれしいですね。

時折車の音が聞こえますが、車は頭上を走っているんですよね。橋の方は高速、トンネルの方は国道です。この歩行者用トンネルも国道の一部になっています。

関門トンネル内
ジョギングしてる人も多いです。
下関だからでしょうか、ふぐが書かれています。

トンネルの中には福岡県と山口県の県境があります。トンネル内にあるなんて、なんとも意外ですね。

ここまでは緩やかな下りだったんですが、ここからはまた緩やかな登り。トンネルに窓でもついていればいいんですが、トンネルには窓は一切ないので結構単調な感じです。

本州と九州の分岐
ここでちょうど分かれる感じでしょうか。
山口県と福岡県の境
わーい!!

そして門司側到着です。ここで地下60m。またエレベーターで上がっていきます。門司側から見る関門海峡も綺麗ですね。

関門トンネル入り口
門司側です。ここもトンネルとはわかり難いですね。

橋の下には和布刈神社がありました。和布刈神事で有名な神社で、旧暦の正月元旦に神職が海に降りてワカメを刈り取り、神前に供える神事です。

和布刈神社
和布刈神社

門司港駅へ

門司側の入り口からはJR門司港駅が一番近いです。門司港レトロ観光線の『関門海峡めかり』駅も近いんですが、門司港駅まで遊歩道もあるので、歩いていくのも悪くないですよ。

関門海峡沿いの観潮遊歩道を歩いてみると、この関門海峡の急流ぶりがよくわかります。

門司側から見た関門海峡
関門海峡。門司側から見ています。
関門海峡
この辺りは本当にきれいです。
観潮遊歩道
観潮遊歩道

門司港レトロ

さて、結構あっという間に門司港駅まで来ました。

門司港駅の周りには門司港メトロと呼ばれるエリア。アインシュタインが滞在したと言われる旧門司三井倶楽部や門司税関をはじめ、大正期を思わせるようなきれいな西洋建築のビルが沢山あります。

門司港が開港したのは1889年で、九州随一の国際港として海運会社をはじめ多くの西洋建築物が建てられました。今では国際港としての役割は完全に失ってしまったのですが、この当時の古い建物が一部残っています。

旧門司税関庁舎
1912年の旧門司税関庁舎
大阪商船三井ビル
大阪商船三井ビル。1917年のもの。
大連友好記念館
大連友好記念館。門司港は大連市との交流が盛んだったんですよね。

バナナのたたき売りで有名なところですが、たたき売りの実演は毎月土曜と第2,4日曜の13:00~となっているようです。

門司港
門司港!!
門司港バナナ
門司港と言えばバナナですよね!

さて、門司港駅。おもしろいことに、下関行の山陽本線は門司港駅ではなく、隣の門司駅から乗るんですよね。電車もトンネルを通って下関に行くんですが、関門トンネルからはずいぶん離れてところを通っています。

もともとは門司港駅こそ九州鉄道の起点である門司駅として作られた駅だったんですが、地理的な理由から山陽本線を1つ手前の大里駅につなげることになりました。そして、その大里駅が門司駅と名前が変わり、もともとの門司駅は門司港駅へと変わってしまいました。

ここから北九州の玄関口となる小倉までは電車で10分程度です。

門司港駅
門司港駅。1914年の建物です。

関門トンネル

住所

 

 

ウェブサイト

 

 

行きかた

下関側: 下関駅からバスで10分。

門司側: 門司港駅から徒歩30分程度。または門司港レトロ観光線門司海峡めかり駅すぐ(休日のみ運行)

時間

無休

 

入場料

無料。ただし自転車や原付の場合、通行料金が20円必要。

 

 

そのほか

☆☆☆ (近くに来たら立ち寄りたい)

トンネルだけでなく、周囲を歩いて関門海峡の景色などを楽しむのもおすすめです。

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