栄山寺【国宝の梵鐘と八角円堂】
奈良と言えば、法隆寺をはじめ多くの国宝の建物が存在しますが、中でも意外なところに国宝があったりします。その1つが栄山寺です。五条市の田舎にあるこの寺には今から1300年近く前の奈良時代に建てられた国宝の八角堂があります。
栄山寺
栄山寺は五条駅から歩いて30分ほどのところ、吉野川沿いにある小さなお寺です。五条というと、奈良でも有名なとても歴史のある街なんですが、電車が不便なこともあり、あまり観光では有名ではない場所です。
本当にこんなところに奈良時代の建物があるのかという気がしてきます。

栄山寺は五条に719年に藤原武智麻呂によって建てられたものです。武智麻呂は藤原四兄弟の長男として、藤原家の発展を築きましたが、長屋王を自殺に追い込んだ後、天然痘で死亡しています。
栄山寺は初めは前山寺と呼ばれていましたが、いつしか栄山寺と呼ばれるようになり、藤原南家の菩提寺として栄えたようですが、藤原家の勢いが衰えるにつれて、寺も有名ではなくなっていきました。それでも、つぶれることなく、栄山寺は現代まで続いています。

入るとすぐにあるのが梵鐘。鐘は917年に作られたもので、さっそくの国宝。ただ、周りがコンクリートに囲まれており、柵の間から覗き見る感じ。小ぶりな鐘ですが、かなりの美しさです。
お寺の真ん中には大きな本堂がありますが、この本堂は16世紀に再建されたもの。戦国時代に堂宇は一度燃えてしまったようです。薬師如来が祀られています。
そして、このお寺の中でも有名なのは本堂ではなく、八角円堂。この八角円堂は武智麻呂の息子、仲麻呂が両親のために奈良時代(710~793)に作ったもので、この建物は建築時より一度も再建されていません。
日本のお寺にはこういった八角形の建物は多いですが、奈良時代にまで古いのは日本ではこの栄山寺と法隆寺の夢殿ぐらいでしょうか。斑鳩以外にもこういった奈良時代の建物があることはとても珍しいですね。この八角円堂はいろんな意味で非常に価値があるものです。
内部には仏画が剥落はあるものの、少し残っているようですが、こんな古い時代の壁画が残っているのは奇跡ですね!!残念ながら内部は非公開。ただ、毎年春と秋に公開しているようなので、是非来てみたいですね。
なお、本堂脇に資料館があり、そこで八角円堂の内部の様子が見れました。
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