横大路を歩く: 長尾神社~桜井
堺から出発した竹内街道も長尾神社で終わり、そこから続きは横大路となって奈良盆地を横断し、桜井へと向かいます。近世には伊勢参りに使われた道であり、終点の桜井では初瀬街道と接続します。残念ながら、横大路にはあまり古代の街道らしいものは残されていませんが、道はとてもわかりやすく、歴史的なものも多いので、散歩がてら歩いてみると楽しい道です。
横大路
長尾神社 – 高田
長尾神社は尺度駅から降りてすぐの場所にあります。この長尾神社から手前の道を真っ直ぐ行き、右折。踏切を超えて、横大路がスタートです。ここから4時間ほど、桜井までひたすらまっすぐ歩き続けます。まっすぐなので、地図はいらないぐらいです。
長尾神社から歩いて30分ほどで大中公園に着きました。この大中公園のそばにある高田川の両側には桜の木が2.5km渡って植えられ、桜の名所として知られているところです。残念ながらコロナ禍でライトアップも出店もありませんでしたが、とってもきれいでした。
横大路と高田の歴史的な街並み
大中公園を過ぎると道は細くなり、なんとなく街道っぽさがでてきましたが、実はここは国道なので交通量が多く、道が狭いから一方通行にしていますが、それでも結構危険です。奈良はこういう細い道が多いんですよね。観光客でとかで間違えてこんな道に入ってしまえば、かなり大変でしょう。伊勢灯篭も残っていたりするので、交通量の多さを除いてはなかなか楽しい街歩きだと思います。
この長谷本寺の直前の筋を左折して2-3分ほど行くと、高田の寺内町があります。高田は専立寺を中心とした浄土真宗の寺内町です。現在は古い建物はほとんど残っていませんが、中心にある専立寺は立派に残っています。
ただ、高田寺内町というと、三重の一身田の方が有名なのかも。一身田は真宗高田派ですが、この奈良県の高田とは関係ありません。
高田 – 橿原
しばらくまっすぐ進み、いくつか伊勢灯篭をみたら、葛城川に突き当たります。長い横大路の中でも、橋を渡るためにここだけ2回ほど曲がります。そして、川を越えると橿原市。大和八木を中心とした大きな町です。
葛城川を超えると橿原市。近鉄の大和八木駅ももうすぐって感じです。橿原市も大阪まで電車で45分程度なので、ベッドタウン化も進み、新しい家も多いです。とはいえ、このあたりには常夜灯が多く、町が発展する中でこういった歴史的なものが大切にされていることがわかります。橿原市にはおふさ観音や入鹿神社、今井町の歴史的な街並みなど見どころもとても多いです。もちろん、横大路から見える大和三山も見逃せません!
横大路と橿原の歴史的な街並み
橿原市の中心部、大和八木に着きました。駅前はかなり発展しており、近鉄の大きなターミナルには大阪、京都、名古屋などいろんな行先の電車が来ます。近くにはJRの畝傍駅もありますが、JRのほうはかなり小さな駅で、駅の周りにはほとんど何もありません。そもそもJRは無人駅で、降りる時には先頭の車両の一番前から降りるような感じ。やっぱり奈良は近鉄中心の町ですね。
大和八木の駅から歩いて南に10分ほど行くと、昔の雰囲気をよく残している今井町もあるので、時間があれば是非行くことをお勧めします。関西には寺内町などの歴史的な街並みもたくさんありますが、今井町は他の歴史的な街並みに比べてはるかに大きいです。いろんなお店もあるので、寄り道しすぎないように注意ですが…
橿原駅を過ぎると、八木札の辻。ここで下ツ道と合流します。古代の奈良には南北にかけて、下ツ道、中ツ道、上ツ道とあり、その最も西にあったのが下ツ道。しかし、この中でしっかり残っているのは上ツ道のみで、上ツ道は伊勢本街道として伊勢参りの人に盛んに使われたから、というのも現在までに残っている大きな理由の1つなんでしょうね。上ツ道は上街道としても知られています。
橿原 – 桜井
橿原の中心部を過ぎるとまた田舎の風景に戻ります。日本らしい風景で、とても美しいです。左手には大和三山の耳成山、そしてもうすこし行くと、香久山が見えますが、香久山は結構遠いです。三輪神社を過ぎたあたりで、桜井市に入りますが、桜井で最も有名な纏向遺跡や大神神社は横大路からは少し遠く、上街道を上がったところにあります。本当は大神神社だけでも行きたいのですが、前半でいろいろ行き過ぎたので、もう立ちよる時間がほとんどなくなってきました…
もう少しで桜井駅というところの小西橋東詰交差点で、古代の横大路は終了するようです(たしかに以遠には看板がありませんでした)。とはいえ、横大路は江戸時代になると伊勢参りの街道としてつかわれ、桜井の東にある初瀬街道との交差点まで延長されました。せっかくなのでそこまで歩きたいと思います。
横大路の終点: 慈恩寺の追分
桜井というと結構大きな町のような気もしますが、駅前はそれほど繁栄しておらず、意外と何もないです。ここからは商店街を抜けてまっすぐ行く感じ。ここまでくればゴールはあと1時間弱って感じです。
さて、とうとう到着しました。ここが横大路の起点。国道165号線の慈恩寺北という交差点から1つ中に入ったところにあります。ここは慈恩寺の追分と呼ばれ、追分は大きな街道の分岐点に着けられる名前です。今では小さな道しるべ以外何もないですが、旧街道は歩いてみるとどこもこんな感じです。ここで上街道と合流し、ここから伊勢本街道となって伊勢に向かう道になります。
ここから近鉄大和朝倉の駅はすぐで、大阪難波まで45分程度で着きます。
横大路は全長15kmの道のりで、竹内街道と合わせると50kmほど歩いてきたことになるんでしょうか。古代らしいものはあまり残っていませんでしたが、沿道には歴史的なものも多く、とても面白かったです。山歩きもいいですが、やっぱり街道歩きもいですね。日本人でも外国人でも楽しめるとてもいい道だったと思います。
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