東高野街道を歩く2: 四條畷~柏原

高野参詣道の1つとして知られる東高野街道。今日はこの東高野街道を四條畷から東大阪を抜けて柏原の安堂まで、中河内と呼ばれる部分を南北に縦断します。ほぼ国道170号線を通っていきます。

住宅地も多いのですが、有名な寺社など立ち寄りスポットも多く、河内を堪能できるルートです。

東高野街道を歩く2: 四條畷~柏原

四條畷

前回は石清水八幡宮から四条畷までを歩きましたが、今回は四條畷から柏原まで。今回は住宅地が多いですが、そんな住宅地の中にも歴史あるスポットが沢山あります。

さて、JR片町線の四条畷駅を降りて、東に5分ほど歩くととそこはもう東高野街道。現在は国道170号線になっています。ちなみに四条畷駅は四條畷市ではなく、大東市にあるんですよね。

170号線は歩道がないところが多いですが、街道ということもあって交通量が多く、少し危ないので通行は注意が必要です。

十念寺のあたりで170号線から逸れて旧道へ入ります。

東高野街道。

四条畷からしばらく行くと、野崎参りで有名な野崎観音こと慈眼寺です。

野崎参りは大阪のゴールデンウィークの時(旧歴では4月1日あたり)に行われる法要で、参道には多くの出店が出てきて、すごく賑わいます。野崎参りは大阪からの日帰りの行楽として、江戸時代に人気となり、落語や文楽にもその様子は描かれています。

普段はひっそりとしたお寺ですが、ちょうど飯盛山の登山口にもなっているので、朝にはハイカーも多くいました。

お寺に行くには東高野街道からは少し坂を上がりますが、是非立ち寄っておきたいスポットです。

野崎観音。結構な大きなお寺です。
ふり売り喧嘩。野崎参りでは船に乗る人と歩いている人の口喧嘩が人気でした。

東高野街道に戻って進んでいきます。旧道には古い家などはあまりないのですが、神社などの立ち寄りスポットは多くあります。

ただ、東高野街道にある見どころの多くは5~10分程度離れていることが多く、さらにほとんどが坂の上なので、街道から坂を上がったり下ったりということを何度も繰り返します。なので、結構体力を使うんですよね。

 

メノコ橋。弘法大師が歩いた時にこの橋桁を枕にして寝ました。

170号線にまた出てくるとまっすぐ歩いていきます。後はほとんどこの170号線を歩くだけです。

大東市と東大阪市の境の辺りには大阪産業大学そしてその隣にはあの有名な大阪桐蔭高校もあります。

須波麻神社を過ぎると東大阪市です。

大産大に保存されている南海モ229。南海平野線の車両でした。
170号線にまた戻って歩いていきます。
須波麻神社。『太神宮』記されたおかげ灯篭(1830)が街道から移設されています。

東大阪市

さて、ようやく東大阪市。なかなか遠かった気がします。四条畷からは歩いて1時間ほどです。東大阪といえば、中小工場のイメージしかありませんが、街道沿いは見どころもかなり多いです。

東大阪市に入ってすぐのところにある孔舎衙(くさか)。古事記に出てくる地名で神武天皇が浪速に上陸後、大和に行くために長髄彦(ながすねひこ)と戦った孔舎衙坂がある場所です。神武天皇はこの戦いで負けて、紀伊半島を南下して熊野から奈良に向かうんですよね。

くさかは日下とも書かれ、日下貝塚は河内湖の様子を知らせる貴重な縄文時代の遺跡として知られています。

孔舎衙。これで『くさか』と呼びます。
立派な大師堂だなぁ!!大峰登山百二度供養等とあります。

東大阪の有名な神社の1つといえば、やっぱりこの石切劔箭(つるぎや)神社ですよね!!祭神は饒速日命とその子である可美真手(うましまで)命。

癌などの腫物(でんぼ)の神さまとして有名で、周囲には多くの占い店があり、なかなかスピリチュアルなスポットなんですよね。神社を超えて北に行くとお土産屋さんも多くあります。

お百度参りが人気で、皆さん境内のまわりをぐるぐる歩いています。
新石切駅。ここから大阪市内に向かうことができます。

石切から少し行くと、箱殿東の交差点です。ここでは暗越奈良街道と交差します。暗越奈良街道は大阪から奈良へと向かう最短の道。奈良からは伊勢街道につながり、大阪から伊勢に向かう人も通った道でした。

奈良街道は大阪からここまでは平坦なのですが、ここを境に坂を上り、暗峠を越えていきます。歩いた時が懐かしい!!

東高野街道は直進。暗越奈良街道が横切っています。
弘法大師堂。

もう少し行くと枚岡神社の一の鳥居です。枚岡神社は河内の一宮であり、大阪では最も有名な神社の1つです。さらに大阪でも有数の梅の名所でもありますが、ウメ輪紋ウイルスによって伐採されてしまいました。以前のように復活するのはまだまだなんでしょうね。とても残念です。

一の鳥居は東高野街道にありますが、枚岡神社まではここから1.5kmほど坂を上ったところにあり、結構遠いです。

是非訪れておきたいところですが、時間的にそして体力的にもなかなか大変です。

枚岡神社の一の鳥居。右側の灯篭は1685年のもの。
1859年の道標
ほのぼのとした住宅街を行きます。

出発して約3時間程度で瓢箪山です。

瓢箪山は駅前に瓢箪山稲荷神社があり、その周りには大きな商店街(サンロードとジンジャモール)があります。結構にぎわっているところですね。なんでジンジャーなんだろうと思ったのですが、ジンジャーではなくてジンジャ(神社)。ユニークな大阪らしい名前ですね。

瓢箪山稲荷は秀吉が16世紀に伏見よりふくべ稲荷を勧進してできた神社で、辻占い(道行く人を見て占う)で有名な神社です。

国道171号線がアーケードの商店街になっています。大変珍しく、国内に2例しかありません
ジンジャモール。
瓢箪山稲荷。瓢箪山というのは本殿の裏にある小高い丘のこと。実は古墳だそうです。

八尾

瓢箪山稲荷を超えてさらに南に行くと八尾市。八尾市に入るとすぐに十三越(業平道)と交差した後、心合寺山(しおんじやま)古墳があります。墳丘にも上ることができます。

長さが130mで5世紀前半の古墳。中河内最大の前方後円墳です。

心合寺山古墳。築造当初の形にきれいに整備されています。
墳丘から見た生駒山脈。

八尾に入るとちらほらと田畑も出てきました。田舎のような感じではありますが、やっぱりどっちかといえば住宅地って感じでしょうか。

近鉄信貴線。近くに服部川駅があります。
玉祖(たまのおや)神社の一の鳥居。神社はここから1.5kmほど東に行きます。
垣内一里塚。現存するのは高野街道ではここと富田林のみ。

八尾市の南まで来るとまだまだ見どころは多いのですが、体力も時間も尽きてきました…

東高野街道沿いには恩智神社もあります。河内の二之宮(一之宮は枚岡神社)としてとてもきれいな神社でした。

恩智神社の鳥居。
恩地神社の境内から。見晴らしがいい感じです。
恩地神社周辺。東高野街道から登ってきて、また降りていきます。
しゅみい地蔵。しゅみいって何なんだろう。

さて、恩智を超えるとようやく今日の目的地となる柏原市!!ようやく今日のゴールが見えてきました。

柏原へ

柏原市に入ると今日の目的地の安堂駅はもうすぐって感じです。

途中、鐸比古鐸比賣(ぬでひこぬでひめ)神社がありますが、背後にそびえる高尾山をご神体とする神社です。ひっそりとした神社ですが、とてもきれいな神社でした。

鐸比古鐸比賣神社。
鐸比古鐸比賣神社。きれいな神社です。

柏原市はブドウの栽培で全国的に有名なところで、実は私たちも数年前にブドウ狩りで柏原に来たことがあります。特にここのブドウを使ったカタシモワインは大阪でも超人気で、大阪人なら絶対に飲んでおきたいですね。

東高野街道から少し逸れた、観音谷展望台公園まで続く『ブドウの並木道』はブドウ畑を横切っていき、なかなかユニークな道です。

ぶどうの並木道。
ブドウ狩りに来た時もすごくおいしかったのを覚えています。
知識寺跡碑(右)。この知識寺の大仏を見て、奈良の大仏が作られたと言われます。

さて、ということでようやく柏原の安堂到着です。20kmほどなのでまっすぐ歩くと5時間程で着くのですが、かなりいろいろ立ち寄っているので、6時間半ほど歩いて到着です。

東高野街道が生駒山地の麓を行く道なので、立ち寄った神社などはどれも山を少し上がったところにあるものばっかりということもあり、かなり疲れてしまいました。

ということで、次は東高野街道のラストパート。安堂から河内長野までを目指します!!

近鉄大阪線安堂駅。

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