町石道を歩く【高野山への参詣道】

関西の聖地である高野山へ行くには、多くの人が南海電車そしてケーブルカーに乗り継いでいきます。しかし、昔は高野山へ歩いて向かいました。時代とともに、様々な道がきりひらかれ、高野山へ向かうには多くの道がありますが、それらの中でも最も有名なのは町石道です。町石道は高野山への表参道として、高野山の開祖である空海により開かれました。

 

※5月の終わりに九度山町が主催となり、登山会を毎年開催してくれています。正確な参加人数はわかりませんが、おそらく100人以上は参加している大規模な登山会です。参加費は1000円で事前の申し込みも不要。私たちは今回これに参加しています。

町石道について

町石道概要

町石道は、九度山町の慈尊院から高野山の大門まで約20km、そして高野山内から空海の場所である奥の院までプラス4kmあります。全部歩くと、7~8時間はかかるというかなり長距離のトレールです。2005年に世界遺産に登録されて以降、この町石道を歩くためにわざわざ高野山へ行く人もいるぐらいで、外国人の中でも特に人気です。最初は起伏が激しいですが、歩き始めて1時間ほどで平たんな道となり、森の中をひたすら歩きます。

町石

道中には町石と呼ばれる石が108mごとに建っています。大半の町石が鎌倉時代に作られたもので、町石道はそんな昔より人気だったようです。

choishi marker at koyasan temple complex in wakayama

町石をよく見てみると、普通の四角い石ではなく、その上に何かいろいろな形の石がのっているのがわかりますか? さらに、それぞれの部分に文字が書かれています。これは密教において宇宙を形成する物質とされる「空」「風」「火」「水」「地」の5つの要素にそれぞれ梵字があてはめられたものです。

初めの慈尊院から大門までは180基そして高野山内に36基あり、大きな目印となっています。町石はかなり大きいのでわかりやすく、このために道に迷う心配はほとんどないと言えます。

町石道そのほか

・クマに襲われた話は聞きませんが、目撃情報はあります。一人で早朝夕暮れを歩いたりすることはお勧めしません。

・崖や危険な箇所などはありません。

・冬は雪が積もるので注意が必要です。

・道中、トイレはほとんどありません。

・コンビニは全くありません。自販機は出発して3~4時間の地点になる矢立にあります。

町石道

町石道の始まりは、慈尊院です。九度山駅から降りて20分ほどのところにあるのですが、少しわかりにくいのでマップはもっていたいです。

1つめ(180町)の町石は慈尊院にあります。慈尊院は小さなお寺ですが、立派な塔があります。慈尊院は空海の母が高野山の女人禁制のために滞在した場所で、空海は高野山より町石道を使って山をおりて母に面会に来たそうです。

Jison-in temple at the start of the choishimichi trail
180町目の最初の町石は階段のわきにある。

この上がると、丹生官省符神社があります。丹生明神や高野明神といった高野山に関係する神が祀られています。高野明神は空海を高野山まで導いた神で、丹生明神はその母です。登山者はみなここでお参りをして、登山の無事を願います。

Niu Kanshofu Shrine in Wakayama Prefecture

ここからはちょっとわかりにくいのですが、境内横の小さな坂を下りて、左折していきます。

そして、道を上っていきます。

the very beginning of the Choishimich trail to Koyasan

あとは、ずっと町石に沿うだけです。8:50スタートです!!

Bamboo forest on the choishimichi trail
最初は竹藪なんかも。

竹藪を出ると、すぐにミカン・柿畑に出ます。ここらへんは起伏が激しく、太陽を遮るものがないので疲れてしまうところです。しかし、このようなところは最初の1時間程度で、すぐに森の中に入り起伏もほとんどなくなってきます。

林のなかをしばらく進むと、2つ鳥居に到着します。819年に空海によって建てられたこの2つの鳥居は、1649年に今のような石造りに変わりました。それぞれ丹生明神と高野明神を表しています。この時点で11:12。終わりはまだまだですね。

Twin torii on the choishimichi trail at mount koya
二つ鳥居。

しばらく歩くと、開けたところに出てきます。多くの人がここでご飯を食べていました。町石道を9時にスタートすると、ここらへんでちょうど12時から1時ぐらいに到着することになるかと思います。

tonosama gaeru from in a puddle of water
トノサマガエル。今ではほとんど見ることがなくなりましたね。
tonosama gearu tadpoles in a shallow water filled rice paddy
おたまじゃくしもでっかいですね。

さて、ここをすぎると、100町の町石が見えてきます。だいぶ歩いたような気がしたんですが、100町なら180町のうちのまだ半分も言っていないんですよね・・・。

Choishi marker on the choishimichi trail that goes to koyasan

そして、矢立に到着。ここにはお土産屋や高野山名物のやきもちが食べられるところがあります。また歩き始めて初めて自動販売機やトイレがあるところになります。ここで13:40。この参詣登山会ではここから高野山行のバスに乗ることができ、実際大半の人がここでバスに乗っていました。ただ、普段はこの場所からバスはないので注意が必要です。最寄りの駅もここからは遠いです。ここから高野山までは約6kmほどになります。なお、ここから夫婦そろって日常の運動不足のため、おしりのあたりが痛くなり始め、ペースはかなり遅くなっています。

町石道は左のわきから進んでいきます。

ここまで来ると結構な高度になっているので、あまり地上では見ないような高山植物の多くを楽しむことができますよ。ただ歩くだけでなく、いろんな自然を楽しむのもいいですよね。

silver dragon plant, the ghost mushroom
ぎんりょう草。別名、幽霊茸。きのこのようだが、実は植物。しかも寄生植物です。
Urashima-so plant growing along the choishimichi path
ウラシマソウ。成育中に性転換し、大型のやつはメスに、小型のやつはオスになるという。これもおもしろいですね!!

そしてとうとう!!

the final choishi marker on the choishimichi trail
十!!!

最後にきつめの階段を上がり・・・大門到着です!!

20kmのかなり長い道のりでしたが、なんとか到着しました。到着時間は15:50。およそ6時間という感じです。25mもある高野山の大きな大門がお迎えしてくれます。昔の人はここに着いたときどういう気分だったんでしょう。私たちは達成感でいっぱいです!! ここから壇上伽藍や金剛峰寺はすぐの距離にあります。

踏破したらもらえます。

町石道についての基本情報

住所

N/A

行き方

慈尊院は南海高野線九度山駅から徒歩20分。大門は高野山ケーブルカー高野山駅からバスで15分。

営業時間

町石道が閉まることはないようです。

入山料

無料

そのほか

町石道は全長21kmです。

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